おいしくて美しい“和菓子”10選・晩秋。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

おいしくて美しい“和菓子”10選・晩秋。

季節を映す上生菓子は、和菓子の中でもひときわ匠の仕事が光ります。東京の名店10軒から上生菓子を集め、晩秋の景色を表現しました。

・〈御菓子司 一炉庵〉白あん栗蒸し羊羹、めじろ、銀杏(いちょう)|白餡に名人の技と心を見る、特別な秋の味わい。

「白あん栗蒸し羊羹」1竿1,600円、1切400円。つやつやと輝く白餡羊羹に並ぶ堂々たる渋皮煮の美しさ。毎年、茨城県産の栗を皮から手剥きし、極上の渋皮煮に仕上げる。羊羹に潜ませた刻み栗の食感も楽しい。販売期間:11月末まで。
左・秋の季語でもある目白。人工着色料を使わない天然色素の上生菓子シリーズで、この「めじろ」は白餡練切を抹茶で色付けしている。1個430円。右・実に4日かけて炊き上げる、大粒2Lサイズの丹波大納言。ふくふくとした皮の食べ心地は芸術品。中にはなめらかなこし餡と求肥入り。「銀杏(いちょう)」1個380円。販売期間:ともに11月中旬頃まで。
店名の「一炉庵」は初代の京都の実家にあった茶室の名。包装紙に記された、品のある屋号の書体と瓢箪の絵は達筆・多芸だったご主人の祖母の筆によるもの。〈御菓子司 一炉庵〉東京都文京区向丘2-14-9 TEL 03 3823 1365。9時〜18時。火曜、第3月曜休。発送なし。
明治36(1903)年に創業し、文士の街・文京区で歴史を刻む御菓子司〈一炉庵〉。かつて駒込千駄木町(現在の向丘)の住人だった夏目漱石が通ったことでも知られている。

店内に入り、まず驚かされるのが上生菓子の豊富さ。〈一炉庵〉では生菓子が7割を占め、中でも上生菓子は二十四節気に基づいて約2週間ごとに入れ替わり、年間で実に400種ものお菓子が登場する。これも四代目当主・池田功さんの「季節を貴び、手仕事を大切に守る」という思いの現れだ。店の命というべき餡は一つ一つ丹念に炊き上げられ、餡以外の材料も既製品などは使わず、保存料も不使用。小豆、黒糖、抹茶、白小豆…と多彩な味わいの羊羹を作り続けるのも、「本当の餡のおいしさを知ってほしい」というご主人の願いからだ。

栗の季節に入ると常連が待ちわびる「栗蒸し羊羹」が登場し、中でも白餡製の珍しい「白あん栗蒸し羊羹」は、11月だけの特別な味わい。北海道産の手亡豆と大福豆で作る白餡は、色焼けのない透き通るように真っ白な質感で、これも職人の鍛錬した技の賜物。羊羹からは白い花のような香りがほのかに漂い、渋皮煮の柔らかな甘みと相まって何とも品のいい余韻が広がる。

11月の上生菓子の「めじろ」と「銀杏(いちょう)」は、ご主人の風物への優しい視線を感じさせるもの。「めじろ」は愛らしいつぶらな瞳と、今にも飛び立ちそうな生命感が練切で表現され、ひとひらのイチョウの葉が初霜の上に舞い落ちる「銀杏(いちょう)」は、最高級の丹波産大納言の鹿の子の風味に目を見張る。餡の尊さ、和菓子の本来の味わいを次世代に伝える店だ。

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