ドリス・ヴァン・ノッテンの“秘密の庭”が明らかに!|石田潤の In the mode | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ドリス・ヴァン・ノッテンの“秘密の庭”が明らかに!|石田潤の In the mode

3年越しで実現したドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリー。彼の着想の源で、秘密とされた自宅の庭にもカメラが入りました。

ドリスの長年にわたるパートナーであるパトリックは彼の良き理解者。
映画の中でドリスは、アン・ドゥムルメステール、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンクらアントワープ王立芸術アカデミーの5人の同期とともに “アントワープ6”と呼ばれた1985年のデビュー当時を振り返り、クラシック音楽で育ち流行の音楽も知らなかった自分は、服作りにわざと“悪趣味な要素を入れた”と述べている。

「最新のポップスもバンドも知らなかった。クラシック音楽で育ったからね。それでもひねりは加えた。自分の服にいわゆる悪趣味な要素をわざといれたんだ。良し悪しのバランスを見極めて入れる。クラシックな服を常に意識しているよ」
バックステージでモデルのコーディネイトを最終チェックするドリス。
この言葉は、以前、カーサ ブルータスのインタビューで庭づくりとクリエイションの共通点について語った彼の言葉を思い出させた。

「庭には手つかずの自由さばかりでなく、人間の手でコントロールされている部分もあります。私の庭はただ自然の摂理に任せているわけではなく、植えたり引っこ抜いたりして人工的に手を加えています。(略)つまり、本来存在しえない自然を作っているのです。でも同時に、それがあたかも自然に見えるように作らなければならない。モードの世界でも実は同じことが言えます」
アトリエで使用するファブリックを吟味するドリスとスタッフたち。
映画を通して見えてきた、完璧主義でクラシックを愛するドリス・ヴァン・ノッテンという人物像。自然や古典をベースとし、そこに本来の自分のテイストではない異質な要素やスタイルを取り入れることで、彼のコンテンポラリーな服は生まれるのだろう。クリエイションこそ生活であり、人生であるという彼の信念が映し出された作品だ。
ショーの最後に登場し挨拶をするドリス。2017年秋冬コレクションで100回目のショーを発表したドリスは、昨年、100回のショーをまとめた本『Dries Van Noten 51-100』(Lanoo Books)も出版した。
『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』トレイラー

ドリス・ヴァン・ノッテン

1958年、ベルギー・アントワープに生まれる。生家はテーラーとブティックを経営。77年アントワープ王立芸術学院ファッション・デザイン科入学。卒業後、86年に同期生6人とロンドン・ファッション・ウィークに参加、メンズ・コレクションを発表する。91年よりパリ・コレクションに参加。

『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』

2018年1月13日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、他全国順次ロードショー。
監督:ライナー・ホルツェマー、出演:ドリス・ヴァン・ノッテン、アイリス・アプフェル、スージー・メンケス。93分。配給:アルバトロス・フィルム。(c)2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE

石田潤

いしだ じゅん  『流行通信』、『ヴォーグ・ジャパン』を経てフリーランスに。ファッションを中心にアート、建築の記事を編集、執筆。編集した書籍に『sacai A to Z』(rizzoli社)、レム・コールハースの娘でアーティストのチャーリー・コールハースによる写真集『メタボリズム・トリップ』(平凡社)など。