追悼:アライアが愛した家具。|石田潤の In the mode | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

追悼:アライアが愛した家具。|石田潤の In the mode

80年代ボディコンブームの代名詞ともなったファッションデザイナーのアズディン・アライア。彼は名作家具のコレクターでもあった。アライアが愛した家具とは?

クォック・ホイ・チャンの《レモン・ソール・ラウンジチェア》はオレンジの革張りも。デスクにはハリー・ベルトイアの《ダイヤモンドチェア》が。
いずれの家具も女性の身体を連想させる曲線的なデザインなのが、いかにもアライアらしい。またアライアは、隣接した場所で非営利のギャラリースペースも運営していた。2017年にはメンフィスにも参加したことがあるアーティストで建築家、工業デザイナーでもあるルイジ・セラフィーニの展覧会を企画した。過去には、倉俣史郎(2005年)やピエール・ポラン(2007年)、メンフィス(2009年)の展示も行っている。このギャラリーについてアライアは次の言葉を送っている。
名作椅子が勢揃いする部屋。手前にあるのはジャン・プルーヴェのテーブルと椅子。奥にはアルネ・ヤコブセンの《スワンチェア》とプルーヴェのデスクが。
「ここで企画する展覧会は、私の友人たちが、私が尊敬し愛する人々が集うためのものです。私は彼らのために、マーケットや様々な文化施設の近くにある、他にはないようなフリーで楽しめるスペースを用意したかった。そこは彼らが見せたいものを見せる場所であり、他とは違うことができる場所なのです」
(左)ベッドルームの照明はセルジュ・ムーユの《ムーユ・エディション》。(右)ホテルの入り口。
既存のファッションシステムからは距離を置き、トレンドに流されることもなく自分が信じるクリエイションを貫いたアズディン・アライア。ファッション界最後の職人は、他の才能の庇護者でもあった。

〈3 Rooms – 5 Rue de Moussy〉

5 rue de Moussy 75004 , Paris

石田潤

いしだ じゅん  『流行通信』、『ヴォーグ・ジャパン』を経てフリーランスに。ファッションを中心にアート、建築の記事を編集、執筆。編集した書籍に『sacai A to Z』(rizzoli社)、レム・コールハースの娘でアーティストのチャーリー・コールハースによる写真集『メタボリズム・トリップ』(平凡社)など。