石田潤の In the mode|ラフ・シモンズによる新生〈カルバン・クライン〉。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

石田潤の In the mode|ラフ・シモンズによる新生〈カルバン・クライン〉。

今シーズン、最も注目されたショーといえば2月にニューヨークで行われたラフ・シモンズの〈カルバン・クライン〉デビューショウだろう。2016年8月に、ラフのチーフ・クリエイティブ・オフィサー就任が告げられて以降、ファッション界が待ちに待ったラフの新たな挑戦、新生〈カルバン・クライン〉がベールを脱いだのだ。

ショウ会場のインスタレーションは、ラフと長年にわたりコラボレーションしてきたスターリング・ルビーによるもの。
そして翌日、ついに新生〈カルバン・クライン〉がベールを脱いだ。ショウ会場となったのは、205W 39 NYCにある本社ビル。そこに、ラフの盟友であるアーティスト、スターリング・ルビーによるインスタレーションがセットされた。
デビューショウで、最もメッセージ性の強いファーストルックを飾ったのは、“古き良きアメリカ”をイメージさせるマーチングバンドのユニフォームスタイル(写真左)。デニムには、後ろのパッチ部分にブルック・シールズを起用した同ブランドの80年代の広告ビジュアルがプリントされている。
デヴィッド・ボウイの「This is not America」が流れるなか、ファーストルックが登場した。ブランド本社のアドレス「205」を配した白いハイネックに合わせたのは、マーチングバンドのユニフォームを想起されるルック。その後は〈カルバン・クライン〉らしい洗練されたスーツ、華やかなクチュールテイストのドレス、PVCで覆ったフューチャリスティックなルック、デニムのワークスタイルと続いた。スタイルも多種多様なら、それを着用したモデルの人種も様々だ。ラフはこのコレクションについて「今の状況を反映するもの」として、次のようにコメントしている。

「異なるスタイル、ドレスコードに身を包んだモデルたち。それらは未来であり過去であり、アール・デコであり、都市であり、アメリカの西部である……と、同時にそのどれでもない。(略)様々な個性、個人を融合させたものであり、それこそまさにアメリカの美であり感情である」。

ラフ・シモンズは〈カルバン・クライン〉アメリカのアイコニックなブランドとしてリ・ブランディングし、アメリカならではの美意識としてその多様性を唄いあげた。社会状況も反映したコレクションは〈カルバン・クライン〉、ひいてはファッションの可能性を示唆するものとなった。

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石田潤

いしだ じゅん  『流行通信』、『ヴォーグ・ジャパン』を経てフリーランスに。ファッションを中心にアート、建築の記事を編集、執筆。編集した書籍に『sacai A to Z』(rizzoli社)、レム・コールハースの娘でアーティストのチャーリー・コールハースによる写真集『メタボリズム・トリップ』(平凡社)など。