石田潤の In the mode|コレクターにしてデザイナー、ガストン-ルイ・ヴィトンを知っていますか? | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

石田潤の In the mode|コレクターにしてデザイナー、ガストン-ルイ・ヴィトンを知っていますか?

いよいよ会期が6月19日までとなった『Volez, Voguez, Voyagez-Louis Vuitton(空へ、海へ、彼方へ—旅するルイ・ヴィトン展)』。これから見に行くという人も、もう一度見たいという人にも展覧会会場で注目してもらいたいのが、3代目当主、ガストン-ルイ・ヴィトンという人物だ。

ガストン-ルイ・ヴィトンが蒐集したアンティーク・コレクションの一部。
美術愛好家でもあったガストンは、現代のルイ・ヴィトンを大きく特徴づけるアーティストとのコラボレーションの先鞭をつけた人物でもある。1927年にメゾン初となる香水〈ウール・ダプサンス(余暇の時間)〉を発表したガストンは、28年に〈ジュ・テュ・イル(私、あなた、彼)〉、46年に〈オーデ・ヴォワヤージュ(旅の香り)〉を作成しているが、ボトルデザインにカミーユ・クレス=ブロティエ、ピエール=エミール・ルグランといったアーティストを起用した。
カミーユ・クレス=ブロティエのデザインによる香水瓶。(左から)〈モミの木〉、〈タンブラン(タンバリン ダンサー)〉(共に1922年)
さらに自ら図案の作成やウィンドウ・ディスプレイのデザインにも取り組み、彼が残したデッサンも「ウール・ダプサンス(余暇の時間)」と題された展示室に飾られている。当時のアールデコの潮流を取りいれた斬新なディスプレイを展開したガストンは、デザイン誌に寄せたエッセイに次のように書いている。
シャンゼリゼ大通り70番地の店舗のショーウインドウのデッサン帳。(1927、1928年)
「19世紀の街路は味気なかったが、この新たな世紀には変化の風が吹いているようだ。だからこそショップオーナーは、店頭のショーウィンドウを上品でモダンなファサードへと改装した。街路を心浮き立つような空間へと変えてゆこうじゃないか...私たちの日々の新たな取り組みにより、道行く人々の興味を惹き、彼らが散策したいと思うように」(1925年デザイン雑誌『Verde』より)。

著名建築家を起用した現在のファッション建築ブームを予感させるような言葉である。ルイ・ヴィトンの世界を大きく広げたガストン-ルイ・ヴィトン。この人物をキーに展覧会を見るとまた、新たなルイ・ヴィトンの魅力を発見できるかもしれない。