石田潤の In the mode|三宅一生の“一枚の布”をまとうマネキンとは? | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

石田潤の In the mode|三宅一生の“一枚の布”をまとうマネキンとは?

〈国立新美術館〉で開催中の『MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事』。会場を入った途端に「さすが!」と思わせた展示の仕掛けとは?

吉岡にこの素材の選択について質問すると、「三宅一生のものづくりの歴史の中で、『一枚の布』という考え方の始まりを表すルームAでは、日本の長い歴史の中で重要な素材である紙を使用して空間を表現し、またルームBでは、当時三宅氏が想像していた衣服の未来を象徴するかのような、透明な人体でインスタレーションをすることを考えました」との答えが返ってきた。
ハンカチーフ・ドレスを着用した、ダンボール紙の《グリッド・ボディ・インスタレーション》。
また人体をデザインするにあたり、三宅から具体的なリクエストはなかったというが、逆にそれこそが、最も「自由で難しいリクエストだった」と吉岡は振り返る。

「『一枚の布』は、人体がまとうことで原型を想像できないほどの美しい造形へと変化します。三宅氏の衣服で最も重要な人体は、一生さんが考える最も美しいフォルムでなくてはいけません。私は『一枚の布』というコンセプトを考え、その考え方をより明快に表現するデザインを考えました」(吉岡)。
職人たちとともに実験を繰り返しながら完成に1年かかったという〈グリッド・ボディ〉。ダンボール紙あるいは透明な樹脂の365のパーツを組み合わせることによってできている人体は、「まるで三宅氏の衣服の『一枚の布』のように、一枚の板から生み出される」(吉岡)という。まさに、三宅一生のデザイン、ものづくりの本質を具現化したマネキンなのだ。

MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事

〈国立新美術館〉

東京都港区六本木7-22-2
TEL 03 5777 8600。〜6月13日。火曜(5月3日を除く)休。10時〜18時(金曜〜20時)。1,300円。公式サイト

石田潤

いしだ じゅん  『流行通信』、『ヴォーグ・ジャパン』を経てフリーランスに。ファッションを中心にアート、建築の記事を編集、執筆。編集した書籍に『sacai A to Z』(rizzoli社)、レム・コールハースの娘でアーティストのチャーリー・コールハースによる写真集『メタボリズム・トリップ』(平凡社)など。