PR Fashion Archi-Tecture Design
〈メゾン マルジェラ〉の日本初となる新コンセプトの旗艦店が誕生しました。
『カーサブルータス』 2021年1月号より
〈メゾン マルジェラ〉の新コンセプトに基づいた旗艦店が、〈心斎橋PARCO〉の1階にオープン。様々な白を基調とした空間は、ジョン・ガリアーノが提起するメゾンのコードを建築で表現しています。
──ショップに置かれたベンチやテーブルなどの什器も、ベージュに染色したトラバーチンが用いられていますね。
はい。普通、石の細孔は石の色と同色のエポキシ樹脂で埋められますが、私たちはその代わりにオプティカルホワイトのエポキシ樹脂を使ってメゾンのコードを強調しました。石の多孔性により色のコントラストが生まれ、素材そのものの持つ特性が模様を作り出すのです。
──鏡や什器の形も特徴的です。
「デコルティケ」のテクニックを参照し、紙片(切り紙)を元にした未完成の長方形の形を作り出しました。紙片の不完全さが個性を生み出します。様々な形を組み合わせて鏡やテーブルを作ると、そのピッタリと合わない感じがフォルムの不完全さゆえの美を強調するのです。
──「アンコンシャス・グラマー」や「ドレッシング・イン・ヘイスト」といったコードはいかに表現しましたか?
「アンコンシャス・グラマー」に関するガリアーノのストーリーは、公園のペンキ塗りたてのベンチに腰掛けた女性が、服の後ろ側にペンキの跡がついたことに気づいておらず、それが無意識のグラマーとなって具現化されたというものでした。普段はエレガントとは見なされないものに、思いもかけず美しさがもたらされるというコンセプトであり、それは急いで服を着た時(「ドレッシング・イン・ヘイスト」)に起きるアクシデントから生じる美にも通じるものです。私たちはこれらの概念を、製作過程をあえて残して、見えるようにすることに利用しました。石膏壁に残した布地の跡もそうですし、フィッティングルームのエポキシ樹脂コーティングでは、わざとオレンジの皮のような凹凸を残した仕上げにしました。凸凹のオレンジの皮は光を美しく反射しますよね。このような不完全な加工していない状態に、私たちは美を見出します。
はい。普通、石の細孔は石の色と同色のエポキシ樹脂で埋められますが、私たちはその代わりにオプティカルホワイトのエポキシ樹脂を使ってメゾンのコードを強調しました。石の多孔性により色のコントラストが生まれ、素材そのものの持つ特性が模様を作り出すのです。
──鏡や什器の形も特徴的です。
「デコルティケ」のテクニックを参照し、紙片(切り紙)を元にした未完成の長方形の形を作り出しました。紙片の不完全さが個性を生み出します。様々な形を組み合わせて鏡やテーブルを作ると、そのピッタリと合わない感じがフォルムの不完全さゆえの美を強調するのです。
──「アンコンシャス・グラマー」や「ドレッシング・イン・ヘイスト」といったコードはいかに表現しましたか?
「アンコンシャス・グラマー」に関するガリアーノのストーリーは、公園のペンキ塗りたてのベンチに腰掛けた女性が、服の後ろ側にペンキの跡がついたことに気づいておらず、それが無意識のグラマーとなって具現化されたというものでした。普段はエレガントとは見なされないものに、思いもかけず美しさがもたらされるというコンセプトであり、それは急いで服を着た時(「ドレッシング・イン・ヘイスト」)に起きるアクシデントから生じる美にも通じるものです。私たちはこれらの概念を、製作過程をあえて残して、見えるようにすることに利用しました。石膏壁に残した布地の跡もそうですし、フィッティングルームのエポキシ樹脂コーティングでは、わざとオレンジの皮のような凹凸を残した仕上げにしました。凸凹のオレンジの皮は光を美しく反射しますよね。このような不完全な加工していない状態に、私たちは美を見出します。
──白を基調とした店内とは対照的に、フィッティングルームをダークグリーンにしたのは?
ガリアーノにとってフィッティングルームとは、試着するお客様が最もセンシティブになる、究極の時間をもたらす場所です。他のデザインも試しましたがなかなかうまくいきませんでした。最終的に、この空間はショップの明るさとコントラストをつけ、暗闇で親密な雰囲気を醸し出し、照明が服の色やテクスチャーと肌を特別な方法で引き立てるべきだと気づきました。素材のリサーチをした結果、コーティングの表面にシワが寄ると光が揺らめくことがわかり、漆塗りのような印象を与える新しいタイプのコーティングを開発することにしました。
──最後に、ジョン・ガリアーノとの共同作業の感想を聞かせてください。
彼との製作プロセスは素晴らしく、たくさんのエネルギーをもらいました。アイデアの実現にとても協力的で、さらに先へ進むように後押ししてくれましたよ。
ガリアーノにとってフィッティングルームとは、試着するお客様が最もセンシティブになる、究極の時間をもたらす場所です。他のデザインも試しましたがなかなかうまくいきませんでした。最終的に、この空間はショップの明るさとコントラストをつけ、暗闇で親密な雰囲気を醸し出し、照明が服の色やテクスチャーと肌を特別な方法で引き立てるべきだと気づきました。素材のリサーチをした結果、コーティングの表面にシワが寄ると光が揺らめくことがわかり、漆塗りのような印象を与える新しいタイプのコーティングを開発することにしました。
──最後に、ジョン・ガリアーノとの共同作業の感想を聞かせてください。
彼との製作プロセスは素晴らしく、たくさんのエネルギーをもらいました。アイデアの実現にとても協力的で、さらに先へ進むように後押ししてくれましたよ。

メゾン マルジェラ 心斎橋PARCO
ロンドンのブルートン・ストリートに続く、新コンセプトの旗艦店。〈伊勢丹新宿店本館〉〈名古屋栄三越〉〈阪急メンズ東京〉にも同コンセプトを反映させた店舗がオープン。●大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-8-3 心斎橋PARCO1F
TEL 06 6210 3895。10時~20時。無休。
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アンヌ・ホルトロップ
1977年オランダ生まれ。2009年にスタジオ・アンヌ・ホルトロップ設立。現在はオランダのアムステルダムとバーレーンのムハッラクにスタジオを構える。主な作品として、オランダの〈フェヒテン砦博物館〉(2015)。ミラノ万博(2015)では〈バーレーン王国パビリオン〉を手がけた。