新世代写真家の旗手、ジェイミー・ホークスワースの原点とは?|石田潤のIn The Mode | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

新世代写真家の旗手、ジェイミー・ホークスワースの原点とは?|石田潤のIn The Mode

ファッション写真における新世代の旗手として注目されるジェイミー・ホークスワース。写真家としての彼の原点は、ドキュメンタリー写真だ。ホークスワースの処女作である「Preston Bus Station」の展覧会が始まった。

写真集『Preston Bus Station』。表紙になったアフロの少年は、ジェイミーが一番気になったという被写体。
――ドキュメンタリーから写真家としてのキャリアをスタートし、今やロエベを始めとするファッション・ブランドの広告ビジュアルも手がけ、ファッション写真家としても注目を集める存在になりました。ドキュメンタリーとファッションの写真では、どのような違いがありますか?

僕にとっては、その2つに違いはありません。同じ精神、エネルギーで向き合っています。僕は写真を撮る上で、客観性よりも主観性を大事にしています。写真を撮る上で大切なのは、その世界を愛していることです。だからこそ、親密で誠実な写真が撮れると思います。特にファッション撮影は、馴染みのない世界だからこそ、自分が好きなものを明確にすることが重要だと思います。
展覧会に伴い作成されたポスター。ブルータリズム建築のプレストン・バスターミナルらしく、椅子も時代の雰囲気を醸し出している。
――今もフィルムのみで撮影しているということですが、デジタル全盛の時代においてはめずらしいことではないでしょうか?

ええ。エージェンシーに入った時は、デジタルで撮影しなければダメだと言われましたが、僕はできないと言いました。でも幸運なことにフィルムで撮り続けることができました。

――最近では、若者たちが再びフィルムで撮影することに興味を抱き始めています。あなたは若い世代の写真家の代表格でもありますが、この現象についてどう思いますか?

フィルムを使うアナログな撮影には間違える余地があるんです。何が写っているかをその場で見ることはできませんから。とりわけスピードが要求されるファッションの撮影では、たくさんのいい意味での“間違い”が起こります。それが良い結果をもたらすこともある。またアナログ撮影は時間がかかりますから、その分ゆっくり考えることもできます。デジタルよりもイメージをコントロールすることができると僕は考えています。

ジェイミー・ホークスワース「Preston Bus Station」

〈タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム〉東京都港区六本木 5-17-1 2F。〜8月31日。11時〜19時。日曜、月曜、祝日、8月11日〜19日休。

ジェイミー・ホークスワース

1987年、イギリス・サフォーク州生まれ。2009年セントラル・ランカシャー大学写真学科卒業。大学では当初、法科学・犯罪捜査学を専攻していたが、授業での一環で取り組んだ模擬犯罪現場の証拠写真撮影を契機に写真に傾倒し、写真専攻へ転入する。スタイリスト、ベンジャミン・ブルーノとの出会いからファッション・フォトグラファーとしての活動を始め、2013-14秋冬よりJ.W.Andersonを、2013年秋よりロエベのキャンペーンフォトを手がける。

石田潤

いしだ じゅん  『流行通信』、『ヴォーグ・ジャパン』を経てフリーランスに。ファッションを中心にアート、建築の記事を編集、執筆。編集した書籍に『sacai A to Z』(rizzoli社)、レム・コールハースの娘でアーティストのチャーリー・コールハースによる写真集『メタボリズム・トリップ』(平凡社)など。