FASHION
メトロポリタン美術館のファッション展、今年のテーマは“キャンプ”です。
May 24, 2019 | Fashion | casabrutus.com | text_Mika Yoshida & David G. Imber
“キャンプ”と言っても野外レジャーの方ではありません!? ビョークの白鳥ドレスも登場、NYの夏を彩るメトのファッション展が今年もスタートです。
倒錯、奇抜、まがい物。悪趣味ギリギリの過剰さや、あえて狙った「外し」感。定義の難しい“キャンプ”という言葉をあえて訳すなら、「奇矯」の美学とでも言うべきか。2019年、〈メトロポリタン美術館〉のファッション・インスティテュートが打ち出したファッション展は、ヴェルサイユ宮殿の時代から現在につながる“キャンプ”の歴史を華麗にひもとく内容となっている。
第1部では19世紀の英国詩人オスカー・ワイルドをイメージして現代デザイナー達が創造した衣装があるかと思えば、絹の靴下に赤いヒールを履いたルイ14世の有名な肖像画も。いわば“キャンプ”の始祖たちを踏まえつつ、第2部ではグッチやトム・ブラウン、アレキサンダー・マックイーンにヴァージル・アブロー、川久保玲など現代のデザイナーが“キャンプ”を体現するクリエイションを確かめる。衣服170点のほか立体作品など展示品の数、実に250点。70組ものデザイナーがフューチャーされている。クイア文化からさらに超越した、多彩で普遍的な美意識をドリーミーな空間で浴びてみてはいかがだろう。
『キャンプ:ノーツ・オン・ファッション』
〈The Metropolitan Museum of Art〉1000 5th Ave., New York ~9月8日。TEL (1)212 535 7710。10時~17時30分(金・土~21時)、無休。入館料25ドル。