〈ビショップ〉が誕生、〈出西窯〉が新しい“村”に! | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

〈ビショップ〉が誕生、〈出西窯〉が新しい“村”に!

島根県・出雲の窯元〈出西窯〉の向かいに、2月23日〈ビショップ 出西店〉がオープン。昨年5月にはベーカリーカフェ〈ル コションドール出西〉も誕生し、焼きものに食、アパレルが加わって“村”のように広がるこの試みの背景には、かつての民藝の巨匠たちの思いがあります。

明治初期の米蔵を移築、改築して建てられた〈くらしの陶・無自性館〉。〈出西窯〉の発起間もない頃から、共同体に危機が訪れるごとに教えを乞うた隆法寺の僧・山本空外上人の教えから命名。「何もかもおかげさまで自分の手柄などどこにもあろうはずがない」という仏教思想を意味する。
2階建ての館内に、所狭しと〈出西窯〉の陶器が並べられている。
棚の上段と下段左の《モーニングカップ》2500円は、バーナード・リーチによるデザイン。
柳宗理ディレクションのシリーズの丸皿(中)黒・3200円、白3300円。父・柳宗悦の逝去の際に宗理が〈出西窯〉に骨壷の作陶を依頼したことから交流が生まれた。
明治初期の米蔵を移築、改築して建てられた〈くらしの陶・無自性館〉。〈出西窯〉の発起間もない頃から、共同体に危機が訪れるごとに教えを乞うた隆法寺の僧・山本空外上人の教えから命名。「何もかもおかげさまで自分の手柄などどこにもあろうはずがない」という仏教思想を意味する。
2階建ての館内に、所狭しと〈出西窯〉の陶器が並べられている。
棚の上段と下段左の《モーニングカップ》2500円は、バーナード・リーチによるデザイン。
柳宗理ディレクションのシリーズの丸皿(中)黒・3200円、白3300円。父・柳宗悦の逝去の際に宗理が〈出西窯〉に骨壷の作陶を依頼したことから交流が生まれた。
〈出西窯〉に飲食店を作るという構想自体は、20年以上前からイメージがあった。柳宗悦に深く師事し、本業は医師でありながら鳥取を中心に民藝運動の大きな役割を担った吉田璋也は、かつて〈出西窯〉前代表の多々納弘光に「本当に生活に窮したら、うどん屋をやりなさい」と提言。吉田は常々民藝の担い手たちの生活を気にかけ、陶器を買い取り自ら販売、またその食器で料理を出す飲食店も営んでいた。料理が載って真に魅力を発揮する実用の器の姿を、美味しいご飯とともに客に提供する。その真意が、時を隔てて実現したのが〈ル コションドール 出西〉だ。

元々は鳥取に店を構えていた〈ル コションドール〉の倉益孝行は、初めて〈出西窯〉に訪れた際に、土地に一目惚れ。多々納も倉益のパンに惚れ込んだこと、また〈ビショップ〉の話が進んでいたタイミングも相まって、昨年5月に出店。〈出西窯〉と〈ル コションドール 出西〉、そして〈ビショップ 出西店〉は今後、〈出西くらしのvillage〉という名前で、ともに暮らしにまつわる様々なアイディアを発信する場になる。

・ベーカリーカフェ〈ル コションドール 出西〉

ベーカリースペース。倉益が目指すのは、「シンプルでストレスのないパン」。オーソドックスなバゲットから惣菜パンなど、40種類以上のパンが並んでいる。ディスプレイにも、〈出西窯〉の器や前代表の多々納弘光がコレクションしていた民藝の籠が用いられている。
店内のカフェスペース。広い開口部からは〈ビショップ 出西店〉の裏手の山が望める。お昼のピーク時以外には、ベーカリーで購入したパンを店内で食べることができる。
カフェメニューは、〈出西窯〉の器で供される。人気メニューの「カレープレート2種あいがけ(サラダ付)」1188円。夏には吉田璋也がレシピを考案した「ジャージャー麺」も提供。日本で初めてしゃぶしゃぶの原型「牛肉のすすぎ鍋」を提供した、吉田璋也のグルマンとしての才が発揮された逸品だ。
店内の照明は、岐阜のガラス作家の安土草多が、〈出西窯〉の《ぼてぼて碗》を模して作ったもの。島根では古くから、泡立てた番茶におこわや煮豆などの具材を混ぜた「ぼてぼて茶」が食べられており、いわゆる茶碗の大きさの器を「ぼてぼて碗」と呼ぶ。
〈ル コションドール 出西店〉外観。
ベーカリースペース。倉益が目指すのは、「シンプルでストレスのないパン」。オーソドックスなバゲットから惣菜パンなど、40種類以上のパンが並んでいる。ディスプレイにも、〈出西窯〉の器や前代表の多々納弘光がコレクションしていた民藝の籠が用いられている。
店内のカフェスペース。広い開口部からは〈ビショップ 出西店〉の裏手の山が望める。お昼のピーク時以外には、ベーカリーで購入したパンを店内で食べることができる。
カフェメニューは、〈出西窯〉の器で供される。人気メニューの「カレープレート2種あいがけ(サラダ付)」1188円。夏には吉田璋也がレシピを考案した「ジャージャー麺」も提供。日本で初めてしゃぶしゃぶの原型「牛肉のすすぎ鍋」を提供した、吉田璋也のグルマンとしての才が発揮された逸品だ。
店内の照明は、岐阜のガラス作家の安土草多が、〈出西窯〉の《ぼてぼて碗》を模して作ったもの。島根では古くから、泡立てた番茶におこわや煮豆などの具材を混ぜた「ぼてぼて茶」が食べられており、いわゆる茶碗の大きさの器を「ぼてぼて碗」と呼ぶ。
〈ル コションドール 出西店〉外観。
柳宗悦が新作民藝の期待を抱き、バーナード・リーチに親方として窯に入ることを提案した。河井寛次郎が「おれも同じ船に乗ってやる」と、生涯心を配り続けた。濱田庄司が厳しくも細かな指導を行った。そのほか、数々の民藝の巨匠たちとの出会いが岐路となり、“実用の器”のための陶技を深めてきた〈出西窯〉。〈ビショップ〉〈ル コションドール〉との出会いが生んだ“暮らしの村”を育む新しい一歩は、その延長線上にある。