『デヴィッド・アジャイ:メイキング・メモリー』 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

『デヴィッド・アジャイ:メイキング・メモリー』

2017年、タイム誌の「世界で一番影響力のある100人」に建築家として唯一選ばれ、サーの称号も得た建築家デイヴィッド・アジャイ。ロンドンの〈デザインミュージアム〉で開催中の展覧会についてレポートする。

1966年、デイヴィッド・アジャイはガーナ人の両親のもとタンザニアに生まれる。各国に暮らした後9歳でイギリスに移住。
アーティストのアトリエから高層ビルまで、幅広いプロジェクトを手がけてきたデイヴィッド・アジャイ。今回の展覧会は「メモリーを作る」がテーマ。韓国、アメリカ、イギリス、ガーナから7つのプロジェクトをセレクトし、 土地や民族の記憶を掘り起こしながら、「ストーリーを語る」、また新たな「記憶を刻む」ものとして、現代のモニュメントのあり方を展示する。
 
はじめに登場するのは1980年の韓国光州事件での死者を弔う〈光州河リーディングルーム〉。200冊の人権に関する本を納めた本棚を含む木製のパビリオンだ。その奥にはスミソニアの〈国立アフリカン・アメリカン歴史文化博物館〉の展示が。自らのルーツでもあるアフリカの歴史や民族性を掘り起こすモニュメント性を持たせた建築は、アジャイの名声を確固たるものにした彼自身のモニュメントでもある。
〈光州河リーディングルーム〉。会場では本棚の部分が再現されている。(c) Kyungsub Shin
スミソニアの〈国立アフリカン・アメリカン歴史文化博物館〉では、インスピレーション源なども一緒に展示されている。
2009年にロンドンでポップアップした〈スクレーラ・パビリオン〉の一部再現。
〈光州河リーディングルーム〉。会場では本棚の部分が再現されている。(c) Kyungsub Shin
スミソニアの〈国立アフリカン・アメリカン歴史文化博物館〉では、インスピレーション源なども一緒に展示されている。
2009年にロンドンでポップアップした〈スクレーラ・パビリオン〉の一部再現。
展示されている7作のうち4作は未建設で、より民主的で市民参加型という21世紀のモニュメントのあり方を問いかける。その一つは故郷ガーナの国立大聖堂で、今後のアフリカへの進出も印象付ける。そのほか、ロン・アラッドとのコラボレーションでロンドンに建設が計画されている〈ホロコースト記念碑〉、また、コンペの結果待ちというボストンの〈コレッタ・スコット・キング&マーチン・ルーサー・キング・ジュニア記念碑〉についても詳細に展示されている。
イギリスの国会横の公園内に建設が計画されている〈ホロコースト記念碑&展示館〉。
ガーナに建設を計画中の大聖堂の展示では、伝統工芸のパラソルも。奥は17世紀以降に絶滅した860種の生物を記念展示する展望台〈MEMO〉のプロポーザル。
ボストンに建設予定の、コレッタ・スコット・キング&マーチン・ルーサー・キング・ジュニアの記念碑のコンペ案。
イギリスの国会横の公園内に建設が計画されている〈ホロコースト記念碑&展示館〉。
ガーナに建設を計画中の大聖堂の展示では、伝統工芸のパラソルも。奥は17世紀以降に絶滅した860種の生物を記念展示する展望台〈MEMO〉のプロポーザル。
ボストンに建設予定の、コレッタ・スコット・キング&マーチン・ルーサー・キング・ジュニアの記念碑のコンペ案。
自らのルーツにインスピレーションを得て、力強いメッセージを打ち出し始めたアジャイ。未だに数少ない国際的に活躍するアフリカ出身建築家として、 新たな方向へと舵を切る決意を感じる内容と言っていい。変化を求められている建築界、そして世の流れにも後押しされ、この展覧会自体もモニュメントの一つになるように感じる。

『デイヴィッド・アジャイ:メイキング・メモリー』

〈The Design Museum〉
224-238 Kensington High Street London W8 6AG TEL (44) 20 3862 5900。〜5月5日。10時~17時。12ポンド。