デザイン誌『AXIS』の表紙はいかにして生まれたか。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

デザイン誌『AXIS』の表紙はいかにして生まれたか。

デザイン誌『AXIS』の表紙は、1年前のリニューアル以前はずっと、第一線で活躍するデザイナーたちのポートレート写真だった。その20年にも及ぶ軌跡をまとめた書籍『AXIS THE COVER STORIES』が発売。カバーフォトを撮り続けてきたフォトグラファー筒井義昭とアートディレクターの宮崎光弘が、当時の撮影を振り返った。

93号に登場した吉岡徳仁。柔らかな自然光にデザイナーの素顔が浮かび上がる。photo_Yoshiaki Tsutui
リニューアル後から続いた撮影法は、吉岡徳仁が表紙を飾った93号から少し変わり、その後も時代のニュアンスに応じて表現を変えていった。もちろんフィルムからデジタルへと、カメラの表現自体も変わっていった。一方でnendoの佐藤オオキを撮影した際には「初期の撮影方法でお願いしたい」とデザイナー側からリクエストされることもあったという。それだけ、デザイナーにとって『AXIS』の表紙になることが重要だったと分かるエピソードだ。
表紙に登場した錚々たるデザイナーが書き残したサイン帳。左にポラを貼り、右に直筆のメッセージが綴られた。
今回の書籍を11月2日〜7日の関連イベント期間中にAXISにて購入するとトートバッグが付いてくるが、このバッグに印刷されている手書き文字は、エットレ・ソットサスがサイン帳に記したもの。「PLEASE PROTECT DESIGN(NOT INDUSTRY , NOT COMMERCE, NOT ONLY MONEY・・・・)」のメッセージが。
こうした20年の軌跡を集めた本書には、それぞれのデザイナーたちのデザインに対する本質的な考えがまとまっている。その言葉をゆっくり読み込んでもらえるよう、装丁にも工夫を凝らしたと宮崎は言う。

「私たちは過去を振り返るためにこの本を作ったのではありません。これらの言葉が未来につながるメッセージだと確信して制作をしていました。開きやすいスイス装にしたのは、テーブルに置いてゆっくりと読んでもらいたかったから。115組のインタビューを同じレイアウトにしたのも、辞書のように検索しやすくするためです」

また、本書が面白いのは当時のインタビューを集めていること。つまり、ソットサスならば1997年、およそ80歳の時の言葉。吉岡徳仁なら2001年、30代前半の言葉。それらが並列されている。そのことを可視化したのが、各デザイナーのインタビュー最後にある年表だ。誕生年、表紙に登場した年、代表作の制作年、人によっては没年がプロットされている。

「これによってデザイナー同士を容易に比較することができるようにしました。また、読者が自分の年齢と重ねることもできるので、あのデザイナーも今の自分と同じくらいの頃にはこんなことを考えていたのか、などと比較して楽しんでもらえたらと思います」
9割近くをAXISフォントで組んだレイアウト。写真はエンツォ・マーリの記事。
それぞれのインタビューの最後に年表が付けられ、この記事が何歳の頃に受けたインタビューなのか一目でわかるようになっている。
造本は変形版スイス装。雑誌の延長にこの本があるので、あえて上製本にはせず、裁ち落としにして雑誌と同じ世界観にまとめた。背を糊付けしていないので開きが良く、机に置いてゆっくり楽しめる。
ソットサスが生まれたのは1917年。この100年で社会はどのように変革し、その中でデザインの役割はどのように変わってきたのだろう。その時期に社会では何が起こり、そして私たちは彼らと同じ年で何を成し遂げてきたのか。筒井の大判カメラが捉えたデザイナーたちの顔、そしてAXIS編集部が捉えてきた言葉の数々。デザインにおいて、決して短いとは言えない20年の軌跡を読み解ける本になっている。
みやざきみつひろ(左)1957年東京都生まれ。アートディレクター。東京造形大学美術学部卒業後、ファッション誌のADを経て株式会社アクシス入社、現在は取締役。多摩美術大学美術学部情報デザイン学科教授。
つついよしあき(右)1966年千葉県生まれ。写真家。東京工芸大学短期大学卒業後、アシスタントなどを経て、2003年筒井義昭写真事務所設立。雑誌『AXIS』で撮りおろしたポートレートは、数々のデザイナーのプロフィール写真としても使用されている。

『AXIS THE COVER STORIES』

1997年70号のエットレ・ソットサスから、2017年186号の寺尾玄まで、20年に渡って取材・撮影された計115組のデザイナーのインタビューをまとめた一冊。11月2日〜7日は書籍に登場するデザイナーらを招いたトークショー「AXIS THE COVER STORIES — 聞く・考える・話す、未来とデザイン」を開催。同イベント期間中に書籍を購入するとオリジナルのトートバッグが付く。『AXIS THE COVER STORIES』10,000円(AXIS)。

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