ミニマルな光を操るマイケル・アナスタシアデスの美的空間|土田貴宏の東京デザインジャーナル | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ミニマルな光を操るマイケル・アナスタシアデスの美的空間|土田貴宏の東京デザインジャーナル

この数年で急激に注目度を高め、数々の一流ブランドのプロダクトをデザインするマイケル・アナスタシアデス。照明ブランド〈フロス〉の新作《アレンジメンツ》を使ったインスタレーションには、卓越したミニマリストとしての新基軸が表現された。

1960年代に〈フロス〉が実用化したコクーンを応用した2013年発表の《オーバーラップ》。300,000円~(参考価格)。※参考出品
スウェーデンのインテリアブランド〈スクルツナ〉、〈フロス〉、アナスタシアデスの三者のコラボレーションで生まれた《フライ》。価格未定。以上日本フロス TEL 03 3582 1468。※発売時期未定
〈フロス〉の技術の先進性を示すものに、1960年の創業当初から用いられたコクーンという技術がある。ワイヤーなどのフレームを回転させ、そこに特殊な樹脂を吹き付けて、繭のように白いシェードを作るというものだ。アナスタシアデスがこの技術を新しく解釈した2種類の照明器具《オーバーラップ》(※参考出品)と《フライト》(発売時期未定)も、ショールームでは《アレンジメンツ》と一緒に展示されている。

「当時から〈フロス〉が時代を率先して導く存在だったことは、疑う余地がない。それは現在も変わっていません」とアナスタシアデスは話す。
〈バング&オルフセン〉の新作スピーカー《Beosound Edge》は、本体を傾けて音量を変える。462,900円。TFC TEL 03 5770 4511。
やはり幾何学的なフォルムによって全体を構成した〈ハーマンミラー〉の《スポットスツール》。各194,000円~。ハーマンミラージャパン TEL 03 3201 1836
アナスタシアデスに関するニュースとしては、〈バング&オルフセン〉のスピーカー《Beosound Edge》と、〈ハーマンミラー〉の《スポットスツール》が、やはり今秋に日本上陸を果たしている。

「《Beosound Edge》は、スピーカーという箱の内部に必要なメカニズムを入れて、最もシンプルな形に行き着きました。アルミとファブリックを用いて、60~80年代の〈バング&オルフセン〉のアイコニックな姿も意識しています。〈スポットスツール〉は、チャールズ&レイ・イームズやジョージ・ネルソンらがタイムレスなデザイン言語を確立した〈ハーマンミラー〉のためのデザイン。やはり時代を超えるものを作りたいと考えたのです」
マイケル・アナスタシアデスは1967年キプロス島生まれ。ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート修了後、94年に自身のスタジオを設立。〈フロス〉からは2013年より照明器具を発表している。《アレンジメンツ》は1ピース各88,000円~120,000円(予定価格)。ローゼット40,000円、ドライバー59,000円が別途必要。
「新しいプロジェクトのオファーが増えていて、それぞれが私にとってチャレンジングで楽しみなものばかり。情熱をもって仕事に取り組めるのは幸せなことです。ただしプロジェクトが増えてもスタジオの規模はそのままで、私のやり方も変わりません」

長い休暇を取りたいとも、環境を変えたいとも思わず、日々の生活すべてからインスピレーションを得てデザインをしていると話すアナスタシアデス。全身全霊で熱くデザインに打ち込みながら、その結晶として彼が生み出すものは静けさと深みを帯びる。彼の孤高の美意識は、今回の新作を通していっそう多くの人々を巻き込もうとしている。

『Jewels after Jewels after Jewels - Michael Anastasiades』

〈FLOS SPACE〉
東京都港区東麻布1-23-5 PMCビル8F TEL 03 3582 1468。〜10月31日。11時〜18時。

土田貴宏

つちだたかひろ  デザインジャーナリスト、ライター。家具やインテリアを中心に、デザインについて雑誌などに執筆中。学校で教えたり、展示のディレクションをすることも。

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