アーティスト・藤元明と建築家・永山祐子が “東京” に問いを投げかける! | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

アーティスト・藤元明と建築家・永山祐子が “東京” に問いを投げかける!

開催中の「DESIGNART TOKYO 2018」。そのフィーチャー作品をアーティストの藤元明と建築家の永山祐子が担当している。南青山の〈エイベックスビル〉に現れた、巨大な「2021」の文字。そこに込められた問いかけの意図を二人に聞きました。

藤元 もともとこのプロジェクトは、僕の個人的な作品ということだけではなく、色々な人と協業して展開させていくものとして動き出しました。日比野克彦さん、アンドレア・ポンピリオさんをはじめ、それぞれの識者たちに2021年以降の未来について語ってもらう、「2021#inteviews」という企画も続いています。今回はこうして彼女とやらせてもらって、僕以上にダイナミズムを持ったやり方で、深度のある、強い作品が実現したと思います。「2021」というプロジェクトと、この南青山という土地の持つ意味と、「DESIGNART」というイベントの持つ意味との組み合わせの中で、これしかないというものに行き着きました。

永山がポイントを置いたのは、「2021」が内包する概念を、老若男女、子供からお年寄りまで、フィジカルに体感できるようにすることだった。

永山 「2021」の前提となっている2020年東京五輪について考えるとき、私たち建築家には、何というか、うまくコミットできていない苦さみたいなものがあると思うんです。世界的にもとっても優秀な日本のゼネコンの設計施工によって都市が変わっていく一方で、1960年に丹下健三が行ったような形で、一人の建築家が大胆な未来像を描くということは、あまりなくなっている。だからこそ、2020年のその先を作っていくために、今何をするのか。どんなことを見る人に対して問いかけるのか。そうしたテーマを持って、今回参加しました。メイン会場を持たずに、都市全体で展開していくこの「DESIGNART」で、なるべく万人に届くような大きな射程を持って、アクションを起こしたい、と。……まぁ、彼からすると「そんなに単純化したらアートじゃない」というところもあると思うんですが(笑)。

藤元 基本的にアートの場合は、わかりやすく万人に届くようにすることを目的としていないし、現代美術の価値観は見た目だけではありません。“デザインとアートの垣根がなくなって来ているね”とよく言われますが、本質的に目的が違うと思います。これは、僕が「DESIGNART」に関して、ベーシックなところで同意しているからこそ、あえて言うことです。現代におけるアートって、日本では超マイノリティなんです。世間的に“理解できないもの”という認識が根深くて、協力的な状況を得ることが少ない。それは、アートの側が“わかるやつだけわかればいい”と思っている側面もあります。そうして制作を続けるのが苦しくなって、ほとんどの人がやめてしまう。だからこそ、今回の「DESIGNART」では誰しもが理解しやすいような、けれども大胆な形で、「2021」をデザインしています。
バルーンの下のスペースと、エスカレーターを登ったフロアには、複数台のモニターが置かれている。「2021#inteviews」で行われたインタビュー映像や、各地での「2021」モニュメントの設置風景などが流れる。
藤元によれば、これだけの規模で開催するためのソリューションに関して、永山の手腕は「超ド級だった。ほんとびっくり」と。

永山 正直なところ、予算が全然足りていなかった。なので、いろんな形で協力をお願いして、有難いことに様々な方々に協賛、協力をいただき、実現にこぎつけました。それに加えて、実際に製作する人も見つけなければならない。これだけ大きなバルーンをこの予算で作ることは国内では難しい。そこでネットでサプライヤーを検索し、中国広州に鏡面バルーンを作れる会社が何社かあることを突き止めました。以前付き合いのあった中国在住の方にも協力をお願いして、可能性のある2社に連絡を取り、本当に作れるのか不安だったので現地に飛び工場視察に行くことにしました。事前に、過去の製作例をもらったら、2つの会社から同じ画像が送られてくるというトラブルもあって(笑)。

藤元 僕は現地で、メイド・イン・チャイナのすごさを感じましたね。2社のうちの1社は、20代そこそこの人たちが、友達たちと「やっちゃおうよ!」みたいな感じで。

永山 船便で送ることも考慮すると時間が迫っていて向こうに行って、その場で会社を決めて、その場で契約、送金、着金、OK、というスピード感でした。かなりの大博打でした。本当に作れるのかな、開催までにきちんと届くかな、穴は開いていないか、と完成間際まで不安が尽きませんでした。

藤元 この作品は、さらに〈エイベックスビル〉の向こう正面に見える〈六本木ヒルズ〉へと展開しています。自然電力グループの協力によって、福島県の太陽光発電所で発電した電気を、バッテリーに蓄電し、その電力を使って森タワーの展望室の窓面に〈エイベックスビル〉の正面と同じサイズの「2021」をプロジェクションしました。永山が都市へとコンセプトを広げたことで、生まれた展開です。会場のエスカレーターを上がったところに記録映像を公開しているので、是非見て頂きたいです。


「2021」プロジェクトは、「DESIGNART」以降にも大きな動きを予定している。

藤元 来年の2019年夏には、とある解体前のビルで、その後建て替えるビルのエリアマネージメントを踏まえて「2021」を起点としたアート、建築のイベントを開催予定です。「2021」は、当初はネガティブな意識から始まったプロジェクトでした。スタジアムやロゴの問題などが出て来て、“そういうことじゃなくてさ”、という思いが強かった。けれど、インタビューなどを行って様々な角度の情報が集まってきたこと、その中で時代が変わりつつあるのを実感してきたことで、必ずしも悲観することばかりではないと思っています。まだ結実はしていないですが、やっぱり世代交代は進んできている。2年前にプロジェクトを始めた頃と比べて、反応も変わってきました。以前は「なんで2020じゃないの?」という声が大半でしたが、共感してくれる人も増えてきている。エリアマネージメントの件も、その一つです。そうした社会との接点に、現代美術の役割が広がってきているように感じています。

巨大な「2021」を前にして何を感じ、未来の都市に対して何を思い描き、いまどんな行動を起こすのか。都市に生きる全ての人に対して、問いが投げかけられている。

〈エイベックスビル〉

東京都港区南青山3-1-30 TEL 03 6804 3819(DESIGNART実行委員会直通)。開催中〜10月28日。10時〜19時。※最終日は閉館時間を短縮予定。公式サイトで要確認。

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