マリメッコのデザイナーから陶芸家に転身! 石本藤雄が福岡で発表する新作とは? | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

マリメッコのデザイナーから陶芸家に転身! 石本藤雄が福岡で発表する新作とは?

〈マリメッコ〉のデザイナーとして活躍した石本藤雄さんは、〈マリメッコ〉の現場を離れた後も、ヘルシンキで陶芸家として活躍しています。〈アラビア〉のアートデパートメントにあるアトリエを訪ね、陶芸家として歩み始めたきっかけや、5月から福岡の太宰府天満宮で開催される展覧会について話を聞きました。

陶芸を初めるきっかけはある作家との出会い。

長年、フィンランドに住んでいても、「日本人の人に対する気遣いは特別と感じる」と石本さん。ご出身の愛媛県松山市では喫茶店もプロデュースしている。
フィンランドは基本的に赤土。いろいろな国の土のサンプルがアトリエの片隅に重ねられていた。
気に入ったものは長く使われている。〈SONY〉のラジオは長年愛用しているもののひとつ。シンプルなデザインの〈KENWOOD〉の電気ポットは最近、購入したもの。
使用している土のほとんどが、フィンランド以外の国から取り寄せたもの。イングランドからの粘土、黒い土は一時期、とても流行っていた。
長年、フィンランドに住んでいても、「日本人の人に対する気遣いは特別と感じる」と石本さん。ご出身の愛媛県松山市では喫茶店もプロデュースしている。
フィンランドは基本的に赤土。いろいろな国の土のサンプルがアトリエの片隅に重ねられていた。
気に入ったものは長く使われている。〈SONY〉のラジオは長年愛用しているもののひとつ。シンプルなデザインの〈KENWOOD〉の電気ポットは最近、購入したもの。
使用している土のほとんどが、フィンランド以外の国から取り寄せたもの。イングランドからの粘土、黒い土は一時期、とても流行っていた。

アメリカ人セラミスト、金子潤との出会い。

その後、石本さんは〈アラビア〉に招待されたアメリカ在住の現代陶芸家・金子潤さんと出会い、相当に刺激を受けて、本格的に陶芸を始めることを決める。

「当時からマリメッコとアラビアは仲がよかったので、奨学金をもらい、半年間、マリメッコを休み、個展を開催する方向で本格的に制作活動をスタートしました。友人も助けてくれましたが、結局、13ヶ月もかかってしまいました(笑)」と石本さんは80年代を振り返る。〈マリメッコ〉のデザイナーの仕事に復帰してからも、週末は〈アラビア〉に通い、焼きもの制作を続けた。他の陶芸家は社員だったが、その中で石本さんはアトリエを間借りさせてもらっていたという。

「とにかく、釉薬に感心があったんです。アラビアには色パレットがあって、それを改良しては色々と試してみました。アラビア独自の色パレットは今はもうないので、自分で作るしかないんですよね。当時は本当にラッキーでした」
イメージ作りの下絵、ドローイング。〈アラビア〉には色パレットがあったので、改良して自分の色作りに役立てたと石本さん。
左の作品は、「特定できないけれど、何かしらの花がモチーフになっている」とのこと。右の黄色い円形の作品は太宰府のことをイメージして制作した《梅》。
イメージ作りの下絵、ドローイング。〈アラビア〉には色パレットがあったので、改良して自分の色作りに役立てたと石本さん。
左の作品は、「特定できないけれど、何かしらの花がモチーフになっている」とのこと。右の黄色い円形の作品は太宰府のことをイメージして制作した《梅》。

祖国、日本への新たな思いとインスピレーション。

石本さんの作品のモチーフは自然から得るものが多い。アブストラクトだが繊細な色使いはやはりフィンランドで長年、培って来た作家としての経験や勘があるように伺える。

「70年にヨーロッパに来てから、74年と81年に帰国したのですが、その時はインターネットもないし、とにかく浦島太郎状態でした(笑)。でも、2012年、青山のスパイラルに招待されて以来、日本が近くなったように感じますね。」と石本さん。

今回、展示する作品《冬瓜》は近年の帰国の際に再び出会い、インスピレーションの源となったもの。「日本の花や植物の方がしっくりくる。記憶で物を作っていると思いますね」

会場となる太宰府天満宮は、近年、現代アーティストの展示が積極的に行われ、国内外からも注目される福岡県の文化発信地のひとつ。石本さんは太宰府の初夏の収穫からインスピレーションを受けた作品《梅》を含む『実のかたち』展を開催する。会期中の6月1日には境内の御神木「飛梅」の梅をご神前に奉納する「飛梅ちぎり」も開催される予定だ。ヤマモモ、ぶどう、木苺、南天の実と遠いフィンランドで生活しながらも、ふるさとの植物のいとおしさをカタチにした石本さん。自然に囲まれた太宰府での豊かなダイアローグとなりそうだ。
太宰府の展示に出品される作品。《角皿》
有機的なラインが美しい《梅》
瑞々しい青梅の作品もある。《梅》
北欧デザインにも通ずる赤い実の絵皿。《丸皿/南天》
太宰府の展示に出品される作品。《角皿》
有機的なラインが美しい《梅》
瑞々しい青梅の作品もある。《梅》
北欧デザインにも通ずる赤い実の絵皿。《丸皿/南天》

『太宰府、フィンランド、夏の気配。』

写真家・津田直との二人展。石本は「実のかたち」をテーマに陶器の新作を発表。津田直は『辺つ方(へつべ)の休息』と題して、フィンランドの初夏を写した新作写真を発表する。

〈太宰府天満宮 宝物殿企画展示室・文書館〉

福岡県太宰府市宰府4-7-1
TEL 092 922 8225。9時〜16時30分(入館は16時まで)。月曜休(6月25日は開館)。拝観料(宝物殿+文書館)700円。2018年5月12日〜7月1日。