バカラ、クリストフル、エルメス…。一流ブランドを惹き寄せるスイスの大学ECALの展覧会。|土田貴宏の東京デザインジャーナル | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

バカラ、クリストフル、エルメス…。一流ブランドを惹き寄せるスイスの大学ECALの展覧会。|土田貴宏の東京デザインジャーナル

デザインを学ぶ学生たちと、世界的なハイブランドの実験的なコラボレーションから、もの作りの未来が見える? スイスの美術大学、ECALの展覧会が原宿のギャラリー〈The Mass〉で開催中。

⚫︎Jean-Baptiste Colleuille×ヴァシュロン・コンスタンタン《Explosion Printanière》

フランス出身のJean-Baptiste Colleuilleによる《Explosion Printanière》。中は2016年にエルメスとのコラボレーションから生まれた4点のテーブルクロック、右はイギリス出身のJake Mooreによる《Whyte》。
Jean-Baptiste Colleuilleの《Explosion Printanière》は、時計に関連する素材で構成したキネティックなオブジェ。
Jean-Baptiste Colleuilleの《Explosion Printanière》も、時計ブランドのヴァシュロン・コンスタンタンと、デザイナーのフォルマファンタズマとともに作り上げたもの。スイッチに手をかざすと細い軸が回転し、時計のゼンマイを思わせる金属のリボンが様々な形に変化する。その様子を、草木が成長して花をつける春の風景に見立てた。

⚫︎Jake Moore×ヴァシュロン・コンスタンタン《Whyte》

ガラスのカバーと大理石の台座が、機械式時計のムーブメントを際立たせている。
ECALの産学協同プロジェクトは、学生が企業や工房を訪れるところから始まる。Jake Mooreのテーブルクロック《Whyte》は、彼がヴァシュロン・コンスタンタンで見て最も印象的だったという、緻密に動き続ける時計のムーブメントを強調したデザイン。時針の位置と分針の位置を青いパーツでつなぎ、時間をグラフィカルに表示する。

⚫︎José Ferrufino×リージュ《Slightly Windy》

オルゴール・ブランド、リュージュのための作品は、ギャラリーの2階の展示室に6作品が並んでいる。
カナダ出身のJosé Ferrufinoによる《Slightly Windy》は、1865年創業のスイスのオルゴールブランド、リュージュとのコラボレーション。曲が流れると、ムーブメントの動きが伝わって麦の穂が揺れ、そよ風を感じさせるというコンセプト。穂の部分は本物の麦に塗装してあり、クラシカルな本体とのコントラストがいい。このプロジェクトではブラジルのカンパーナ兄弟が講師を務めている。

⚫︎Ini Archibong×ヴァシュロン・コンスタンタン《Mirror》

Ini Archibongの《Mirror》も、ヴァシュロン・コンスタンタンとのコラボレーションでデザインされた作品。ECALとヴァシュロン・コンスタンタンの協業は2013年から続いている。
アメリカ出身で現在はスイスが拠点のIni Archibongによる《Mirror》。アルミ鋳造のミラーで、前面は磨き上げ、後ろ側は本来の素材感をそのまま残している。彼は一昨年、昨年とミラノサローネのサローネサテリテに出展するなど知名度が上昇中。デザイン・フォー・ラグジュアリー&クラフツマンシップ科の卒業生は、彼のように独立したり、ラグジュアリーブランドのインハウスデザイナーとして働くことが多いようだ。

ECALのデザイン・フォー・ラグジュアリー&クラフツマンシップ科の作品がまとめて観られるのは、今回が日本で初めての機会。一連の作品は、活躍しつつあるデザイナーの才能と、数々のブランドのビジョンの融合であり、未来のデザインが垣間見えるようだ。学生たちは実験精神とウィットを生かしながら、ブランドがもつ高度な技術や伝統をとても見事に形にする。往年のアメリカのデザイナー、チャールズ・イームズは仕事についてしばしば「真剣に楽しもう」(Take your pleasure seriously.)と話していたという。それと共通する姿勢を、ECALのデザインは感じさせる。

『ECAL Design for Luxury & Craftsmanship』

〈The Mass〉

東京都渋谷区神宮前5-11-1
TEL 03 3406 0188。~2018年4月22日。火曜・水曜休。12時~19時。入場無料。

土田貴宏

つちだたかひろ  デザインジャーナリスト、ライター。家具やインテリアを中心に、デザインについて雑誌などに執筆中。学校で教えたり、展示のディレクションをすることも。

AIがあなたにおすすめ

※過去の記事も表示されます