土田貴宏の東京デザインジャーナル|想像力に圧倒されるKIGIの個展 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

土田貴宏の東京デザインジャーナル|想像力に圧倒されるKIGIの個展

グラフィックを軸として、プロダクトやインスタレーションなどにも活動の範囲を広げてきたユニット、KIGI(キギ)。プロダクトブランド〈D-BROS〉の活動をはじめ、その多彩なクリエイションは広く知られている。現在、宇都宮美術館で開催中の彼らの大規模な展覧会「KIGI WORK & FREE」をリポートします。

古書と蝶の対比が美しい《時間の標本#001》は、2007年に最初に発表され、現在まで新作が追加されている。
ラムネの瓶を無色のガラスで少し大きめに作り、通常はビー玉を入れる部分に天然の鉱石を封入した《時間の標本#002》。2012年発表。
展覧会場は、「FREE」のスペースがルーム1、「WORK」のスペースがルーム2となっている。「FREE」では、KIGIのふたりの想像力が、きわめて自由に、さまざまな方向に広がっているのがわかる。たとえば《時間の標本#001》は、古書のほぼ中央のページに水彩で本物そっくりに蝶を描き、カッターで切り取って制作するもの。蝶の種類はさまざまで、あえて本の内容とはリンクさせていない。時間を経た本の佇まいと、羽化したばかりの姿を思わせる蝶の繊細な軽やかさとの対比が印象深い。
渡邉良重による《dropス》。『寺山修司少女詩集』をインスピレーションの源とし、渡邊の絵画とジュエリー作家の薗部悦子のジュエリーの3点セットとした。2015年発表。
植原による作品《集合と拡散》より。古い写真をドット化したもので、その粒子の大きさによってイメージが本来の意味を超えていく。
渡邉良重による《集合》は、ケーキなどの下に敷くレースペーパーを彩色して繋ぎ合わせたもの。2012年発表。
「FREE」のスペースで展示される作品には、植原と渡邊の共作とともに、それぞれの個人の作品もある。渡邊の作品は植原のものに比べて絵画的であり、いっそう空想的。さらに独特の絵心が発揮されているものが多い。レースペーパーをマジックインキで着色し、繋ぎ合わせて作った《集合》は、花や花畑が好きだという彼女の好みが率直に表現されたもの。また《dropス》では、20代の頃に出会って以来、20年以上ぶりに『寺山修司少女詩集』を手にして、そこに登場する宝石をテーマに絵を描いている。こうしたファンタジーは、KIGIのグラフィックでもしばしば垣間見られる。一方、植原のソロ作品である《集合と拡散》のシリーズは、彼自身が撮影した写真や、古い写真館に眠っていた写真をドット化したもの。グラフィカルな形に変換された丸いシールによって再構成した。「この世の中のあらゆる事象は丸い粒子になって集合と拡散を繰り返す」というコンセプトが表現されている。

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