皆川 明、西沢立衛も参加! ものづくりの真髄を伝えるブランド〈aemono〉。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

皆川 明、西沢立衛も参加! ものづくりの真髄を伝えるブランド〈aemono〉。

建築家やデザイナーが手がける特注家具のノウハウを生かし、独創的なアイテムを製品化する〈aemono〉。その最初の展示会が7月に開催された。実力派の作り手たちの“こだわり”の積み重ねが、家具シーンに新風を吹き込もうとしている。

鳥をモチーフにした張り子のシェードに木のベースがつく、皆川 明による照明器具の試作品。 photo_Takumi Ota
〈ミナ ペルホネン〉デザイナーの皆川 明は、伝統的な張り子の技術を生かしたランプを試作中。手すき和紙の盛んな島根県浜田市で張り子のお面などを作る〈いわみ福祉会〉と、同じく島根県内の木工所とともに制作しているものだ。張り子のお面は色を塗って仕上げるが、このランプのシェードは彩色せずに光を透過させることで、昔ながらの手仕事を現代のプロダクトへと転用する。和紙を重ねて作る張り子は、光を通すと濃淡が生まれる。それが鳥の羽のように見えるよう試作を重ねている。
展示会では、試作中の張り子のシェードを並べてインスタレーションのように見せた。 photo_Takumi Ota
作り手にとってちょうどいいスピードで出来上がるものが、同じペースで世の中に流通していく状況もありうるのではないかと、皆川は考えたという。ここに、効率が優先されがちな現在の工業製品とは違う時間の流れが生まれようとしている。
《A BOX》は、西多摩で木の伐採や活用を行う〈東京チェンソーズ〉と、あきる野で特注家具を製造する小野木工製作所が協力。深さは3種類。9,500円〜12,500円。
収納家具のデザインなどで知られる真喜志奈美の《A BOX》は、東京をテーマとして生まれたシンプルな箱。「八百屋さんやワイン屋さんなど、何か食にかかわる東京のお店がものを売るのに使ってほしい。そんな場面に合う、並べるときれいに見える箱をデザインしようと思いました」と真喜志。多摩西部の檜原村で採れる杉とサワラを使い、製材、天然乾燥、ボックスへの加工もすべて都内で行う。もちろん家の中でもさまざまなシーンで自由に使うことができる。
無垢の板を、組接ぎと呼ばれる方法で接合。「ただの箱」という意味を込めて《A BOX》という商品名になった。
素材感やディテールの飾らない美しさは、〈aemono〉の他のアイテムとも共通する魅力だ。東京以外の地域で、そこで採れる材料を使い、地元の業者が製造することも視野に入れている。マックス・ビルが1950年代にデザインした《ウルムスツール》など、モダニズムのマスターピースに通じる趣もある。

約2年前から〈aemono〉のプロジェクトを進めてきた設計事務所〈SOLO〉の神梓(じん あずさ)は、特注家具の製作管理を長年にわたり担当してきた。特注家具とは、建築家やインテリアデザイナーが、特定の物件のためにデザインしてそこだけで使われる家具のこと。通常は世の中に流通しないが、量産される家具とは違う作り手の美意識やこだわりが活かされることも多い。〈aemono〉は、そのノウハウとネットワークを駆使して、少数生産のプロダクトを発想し、製品化していく。マーケティングやトレンドに影響されず、無理や無駄のない、自然体のスタンスであることも強みだ。作り手が心から満足するものは、必ずその価値に共感する使い手がいるという潔い信念が、一連のプロダクトの原点にある。
7月に開催された〈aemono〉の展示会ではデザイナーのトークイベントも行われた。左から坂本一成、藤森泰司、真喜志奈美、皆川 明、西沢立衛。