【RAIZIN presents】集中連載! nendo 佐藤オオキのひらめきのスイッチ 川村元気 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook line twitter

【RAIZIN presents】集中連載! nendo 佐藤オオキのひらめきのスイッチ 川村元気

佐藤オオキが話題のクリエイターをゲストに迎え、創作の源を聞いていくインタビュー連載。第5回は映画プロデューサー・小説家の川村元気さんです。

アウトプットを続けることが次のクリエイティブにつながる。

映画『君の名は。』をはじめ、手がけた作品が次々とヒットを飛ばす映画プロデューサーの川村元気さん。その才能は小説家としても発揮され、著書は軒並みベストセラーに。ジャンルの枠を超え、多くの人を惹きつける作品づくりや、アイデアが生まれる背景を聞いた。

重要なのは目の使いどころとピークを見極める目。

佐藤 8月18日から、アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』が公開ですね。翌週の8月25日には『カーサ ブルータス』で連載していた絵本『ふうせんいぬティニー』の映画も公開するそうで。
川村 はい。自分の作品が2週連続して公開されるなんて、ちょっと混乱しています(笑)。
佐藤 川村さんはプロデューサーとして、制作にどこまで指示を出しているんですか? 
川村 印象的なシーンは細かく突っ込んで話をするし、俯瞰してアドバイスするところもあります。『打ち上げ花火〜』は新房昭之総監督と〈シャフト〉というアニメ制作会社と作っているのですが、新房さんはカッティングを重視した演出がうまいのでその特徴が生きるように考えます。まずは自由に表現してもらって、いいところにはフォーカスし、よくないところは切る。アニメでも実写でもそうですが、編集というのは良いものをつなぐというより、弱いところを切ってより良く見せる作業だと思っています。
佐藤 切る、切らない、はどうやって決めるんですか?
川村 生理的な判断ですね。僕はかなり女性的な目線かもしれない(笑)。実写は特にそうで、脚本では面白かったのに映像をつなげたらこのシーンがあるせいでイマイチ気持ちが乗らないってことがある。そういう場合は思い切ってそのシーンをカットする。切ると話がつながらないんだけど、そのわけのわからなさが逆に面白いこともあったりするんです。
佐藤 そういう判断はその場ですぐにできるんですか? それはエンドユーザーの目線で?
川村 なんかここがつまんないなっていうのは観客目線で、ここを切れば面白くなるというのは作り手の感覚です。切ってダメだったらスタッフに謝ってすぐ戻す。僕、戻す力があるんです(笑)。例えば20回くらい編集をやり直したけど、「3回目に編集したものが一番よかったね」って言える。直し続けると最新のものがいいと思いがちですが、悪くなっていくこともある。ピークはどこだったか見極める目も大事。プロダクトもそうじゃないですか? 
佐藤 そうですね。でも、僕らの場合、スケジュールや予算の都合で、すべてのプロトタイプを作れないことも。作る前にある程度、選択肢を絞ることが必要です。
川村 それは映画も一緒です。均等に頑張るのではなく、どこかにフォーカスして編集していく。
佐藤 これは僕の課題でもあるんですが、何度も作り直してプロトタイプに見慣れてくると判断に切れ味が出ない。エンドユーザーと同じように、初めて見たときの印象を自分の中で何回再現できるかってすごく大切だなと。
川村 わかります。僕も「目が死ぬ」って言い方をするんですが、編集を繰り返すとわかりにくくなる。だから観客と同じ感覚で見られる1回目の試写をどの段階で見るかを重要視しています。初期の段階で見るのか、ある程度作り込んだ状態を見るのか。自分の目の使いどころを決めるのは大事です。
『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』 岩井俊二の名作をアニメ映画化。8月18日より全国公開。
『映画くまのがっこう&ふうせんいぬティニー』 カーサの人気連載が初めての映画化。8月25日より全国公開。
<strong>『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』</strong> 岩井俊二の名作をアニメ映画化。8月18日より全国公開。
<strong>『映画くまのがっこう&ふうせんいぬティニー』</strong> カーサの人気連載が初めての映画化。8月25日より全国公開。