土田貴宏の東京デザインジャーナル|モビールとミラーに可能性を探る新鋭たち | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

土田貴宏の東京デザインジャーナル|モビールとミラーに可能性を探る新鋭たち

今秋、多くのデザイナーやブランドの新作が展示される中で目を引いたのが“モビール”と“ミラー”。どちらも目新しいアイテムではないが、そのポテンシャルを意外な発想によって引き出す試みがいくつも見られた。

若手ながら大きな注目を集めつつあるディミトリ・ベレとクリストフ・グベランによる、磁力を使ったモビールの試作品から。右は支柱の先端に小さな磁石がある。左は斜めの棒が、磁力でこの位置に保たれている。〈DESIGN小石川〉の『HIGHLIGHT』で発表された。 photo_Shin-ichi Yokoyama
モビールには明確な機能はないが、バランスを保つという制約に基いて構造が決まる点ではデザインの要素もある。ローザンヌにある著名なデザイン学校、Ecalを卒業したばかりのディミトリ・ベレとクリストフ・グベランは共同で、日本のモビールのブランド〈tempo〉のために制作したプロトタイプを発表。パーツの一部に磁石を使うことで、モビールに可変性を与えたり、磁力によってバランスをとる仕組みを考案したりした。形、動き、構造などの美しさとは違う方向から、モビールの定義をとらえ直した視点に唸らされる。
《オンブル ミラー》コレクションの中で《グリーン・ドーン》と名付けられたゲルマンス・エルミッシュのミラー。110,000円(シボネ青山 TEL 03 3475 8017)。
シボネに入荷したゲルマンス・エルミッシュによる新作《オンブル ミラー》は、空の色の変化にインスパイアされたグラデーションを施したもの。店頭ではブルー、グリーン、パープルの3色を展開している。実用性も高いが、そこに映る世界にエフェクトをかけることで現実に変化を与える。エルミッシュはラトヴィア出身で、オランダのデザインアカデミー・アイントホーフェンを卒業。形や機能とともに色彩を重視することが、彼のデザインプロセスを特徴づけている。
目にした時の第一印象はストイックだが、ものとしてのあり方はポエティック。《アクト・モバイル・ランプ》は、そのギャップがユニークな照明としてのモビール。2017年春に発売予定。※写真のミディアムサイズは151,200円(予価)。(イデー ショップ 自由が丘店TEL 03 5701 7555)。
ドイツ人デザイナー、クリスチャン・ハースは〈イデー〉からモビール状の照明《アクト・モバイル・ランプ》を発表した。同じ太さのパイプを縦横に使い、縦のパイプに光源を入れ、コードもモビールの構造になじませるなど、いたるところに技がある。シンプルな構成要素で多様な形態を生み出すという、モビール本来の特徴をうまく生かした。床を照らす光の表情は、モビールの動きとともに重なり合って変化する。