スティーブ・ジョブズに捧ぐ、アップル初デザイン本。ジョナサン・アイブ独占取材 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

スティーブ・ジョブズに捧ぐ、アップル初デザイン本。ジョナサン・アイブ独占取材

アップルから『Designed by Apple in California』が発売される。アップルデザイン20年の歴史を、プロダクトの写真450点を通して語る公式の書籍だ。カーサは、アップルのチーフデザインオフィサー、ジョナサン・アイブを独占取材。構想8年、序文で“スティーブ・ジョブズに捧げる”と掲げた、その思いとは?

"1,000 songs in your pocket"というキャッチコピーで発売された《iPod》(2001年)。背面の美しい鏡面仕上げは、新潟県燕の職人によるもの。「スクロールホイール」と呼ばれる画期的なUIも話題になり、ポータブル・オーディオ・プレイヤーの決定版となった。
Q もしもアップルのデザインチームが何か他のものをつくるとしたら、どんなものづくりをするのだろうかと思い描いている人も多いと思います。たとえば、もし家をデザインしたら? 車をデザインしたら? 家具をデザインしたら? と。今回は、本のデザインを見ることができました。

A たいへん光栄に思います。序文にも書いていますが、今回のプロジェクトは単にデザインを見て楽しむためのフォトブックではなく、私たちのものづくりの意図を、読者がくみ取ってくれることを期待しています。20年間にわたって私たちが発表してきたプロダクトを集積した本ですが、デザイナーとしての観点や写真家のこだわりなど余計なものをできるだけ排除し、文章も少なくして純粋に我々のプロダクトに重点を置きました。

その結果、デザインチームの本質を表した形に仕上がったと思います。私たちの価値観や哲学が浮き彫りになっています。今の時代にはデザインに関する本は何万冊も出版されていますが、それらはデザインの手引き書であったり、哲学が言葉で述べられているものです。私たちが常に念頭に置いているのは、私たちの信念は、つねに発売したプロダクトを通して証明されるものだということです。
携帯電話市場に新規参入したことで、一躍注目を集めた初代《iPhone》(2007年)。タッチ操作できる大きな液晶ディスプレイが話題となった。
Q 今おっしゃったことは、昔からアップルが貫いてきたことですね。説明して理解させようとするのではなく、製品自身が語ってくれるものだという。この本からも、そのことを読み取れたような気がします。

A そう言ってもらえることが何より嬉しいです。それこそが私たちのゴールです。実は、このプロジェクトの初期に心配していたことがあります。既にポケットに入っていたり、机の上で毎日使用しているプロダクトの写真が掲載されただけの本を、果たして人は買うのだろうか。その本を買う意味は何だろうか? と。そこで何点か興味深いことに気づきました。ひとつには、機能や内容から離れて、そのプロダクトだけを単独で見ることができるのは面白いのではないかということ。そして、プロダクトの進化の過程―デザインであれ技術であれ―その進化には意味があり、そのことに興味を持つ読者もいるだろうということ。そして、誰もが知っている便利な製品が素材から製品へと変形していく姿を、みなさんに一目見せたかったのです。