土田貴宏の東京デザインジャーナル|「そばにいる工芸」展に見る、今を生きる工芸。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

土田貴宏の東京デザインジャーナル|「そばにいる工芸」展に見る、今を生きる工芸。

6人の気鋭の工芸作家が参加した「そばにいる工芸」展は、森岡書店の森岡督行さんがキュレーター役を務めた。それぞれの個性が交錯するこの展覧会は、デザインの未来を照らしているようにも見える。

黒谷和紙の漉き師として修行し、和紙を使った作品を手がけているハタノワタルによる箱。
「すばらしい作家が無数にいる中で、特に精神性のある作品を見せようと考えました。アイビーさんのガラスは、2000年前のローマの技術を受け継いでいる。吉村さんの器のさまざまな色の釉薬は、先生や教科書に教わらずに自分で作り出したもの。ハタノさんの箱は、東日本大震災でボランティアをしながら作り始めたそうです。被災地や避難所で、たくさんの箱が必要だったことが背景にあるのです」
アメリカ出身で、富山県でガラスの器や照明器具を制作しているピーター・アイビーの作品。
ピーター・アイビーの作品はきわめて繊細で、はかない印象を与えるもの。手吹きガラスならではのシルエットやディテールが美しく、装飾的な何かを付け加えることなしに、実用性をはるかに越えた深みを感じさせる。その秘密は、ガラス作りの長い歴史とのつながりなのかもしれない。