来日した巨匠ディーター・ラムスが説く、グッドデザインの規範。
今なお多くのデザイナーが信奉するディーター・ラムス。彼が考えるデザインの意義、現在、そして美について。
606 (1960)
Q それではアップルのデザインについてはどう思いますか。
評価している。一度、アップルのデザイン部門を率いるジョナサン・アイブの招待で彼らの仕事場を特別に見せてもらったが、きっちり整った環境に、私がブラウンにいたころを思い出したよ。いい環境はいい製品を作るのに欠かせない。またスティーブ・ジョブズとジョナサンの関係が良好だったことも大きいだろう。やはりブラウンも企業のトップと私たちデザイナーに強い信頼感があった。その意味では、ジョブズ亡き後のアップル製品は、私には未知数だ。
Q あなたが70年代末に考えたという「グッドデザインの10箇条」は多くの人々に影響を与えてきました。その後の時代の変化から、どこかを変更するとしたら?
この10箇条を、岩のように不動の鉄則だとは最初から考えていない。実際に、多少表現を変えたところもある。しかし大きく変更したり、項目を加えるような必要が今まで見つからなかったんだ。