土田貴宏の東京デザインジャーナル|コンビニの未来像を提示する「d mart 47」展 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

土田貴宏の東京デザインジャーナル|コンビニの未来像を提示する「d mart 47」展

一見、コンビニ。しかし棚には地方色豊かな逸品の数々が。ナガオカケンメイの視点から実現した「身近なものが買える展覧会」が人気。

〈d47 MUSEUM〉の一角と思えないほどコンビニ然とした姿。店内放送やビニール袋なども既存のコンビニのスタイルを踏襲している。
「d mart 47」展のキュレーターを務めるD&DEPARTMENT PROJECTのナガオカケンメイは語る。

「日本中、どこへ行ってもコンビニのフォーマットや扱う商品はほとんど同じ。そんなコンビニはもう飽和状態です。これからコンビニでカスタマイズ化やローカル化が進むのは間違いありません。僕らは47都道府県をテーマにミュージアムや食堂をやってきたので、そこからコンビニの未来像を考えてみたんです」

こうした発想の背景には、コンビニエンスストアに対する問題意識もある。

「D&DEPARTMENTは、ものを長く使うことを大事に考えて活動してきました。だから使いつづけられないものや、長く使わないことを前提にものを買うのが嫌だという気持ちがあります。しかしコンビニでの買い物は“間に合わせ”になってしまいがちです。コンビニはもう日本のインフラになっているから、その土地の特徴を反映した上質なものが揃ったらとても大きな可能性があると思う」
展示品の一部。東京都内の各県のアンテナショップなどで購入できるものもあるが、それをコンビニエンスストアという形式に当てはめた視点が新しい。
右上の《金沢 名月》は石川県産の米と塩を使ったうす焼きせんべい。隣の《パインアメ》は60年以上のロングセラーになっている大阪名物。左上の《金ちゃんラーメン》は徳島のメーカーによる即席カップ麺。その地方でないと手に入りにくいアイテムは、各地で親しまれているだけでなく、県外から訪れた人がお土産にするケースもあるのだとナガオカさんは言う。民芸やクラフトがブームになり、日本各地の工芸品が都内のセレクトショップでも手に入れやすくなった現在、より日常的なアイテムにも多くの人が地方の豊かさを感じるようになってきた。ナガオカさんは長年にわたりショップを運営してきた経験もふまえ、地方色のあるものとコンビニとの親和性を考えている。

「D&DEPARTMENTを始めた16年前からずいぶん状況が変わり、僕らが扱ってきたようなロングライフデザインを扱う店も増えました。今後はD&DEPARTMENTをコンビニの形態でやることにも意味があるかもしれません」