【ミラノ・デザインウィーク】照明デザイナー・面出薫に聞く。ミラノを沸かせた、光の未来を変える新しい技術。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

【ミラノ・デザインウィーク】照明デザイナー・面出薫に聞く。ミラノを沸かせた、光の未来を変える新しい技術。

コロナ禍の影響を受け、日本からはわずか数社のみが出展を果たした2021年の〈ミラノ・デザインウィーク〉。そのなかで規模も大きく、現地でも大きな話題を集めた展示が材料メーカー〈Nitto〉の『Search for Light』だ。クリエイションパートナーとして会場デザインなどに深く関わった建築照明デザイナー、面出薫に話を聞いた。

Nittoは〈Search for Light〉と題し、ミラノ・トルトーナ地区に出展。一般の来場者はもちろん、建築家やデザイナー、ミラノに拠点をもつメゾンの店舗開発担当者など、数多くのプロフェッショナルが訪れた。
例年に比べて多くの企業が大規模な出展を見送った『ミラノ・デザインウィーク2021』。そうした状況のなか、美しいインスタレーションによる技術発表でミラノを湧かせた日本の企業がある。ミラノ・デザインウィーク初出展の高機能材料メーカー〈Nitto(日東電工)〉だ。

〈Nitto〉は、スマートフォン、ノートパソコン、テレビなどに使われる偏光フィルムをはじめ、工業用粘着テープ、医療用テープなど、多種多様な製品をグローバルに展開する企業だ。フィルムやテープの技術で世界的なシェアを誇る彼らが今回発表したのは、光を制御する新技術〈レイクレア(RAYCREA)〉。その技術を用いた透明なフィルムをガラスやアクリル板に貼り、光源と組み合わせることでガラスやアクリルを効率良く面発光させることができるというものだ。ガラスやアクリルを面発光させるためには、一般的にガラスやアクリルそのものに加工を要する。しかし〈レイクレア〉の技術を用いれば、フィルムを貼ることで光の面を実現することができる。展示のクリエイションパートナーである建築照明デザイナーの面出薫は〈レイクレア〉を、光の新たな表現を引き出す可能性を秘めた技術だと評価する。
異なる色に発光するパネルを重ねれば、色が混じり合って新たな色を生み出すことができる。LEDそのものの色表現はもちろんだが、光の三原色を応用することで多彩な色表現も可能になる。
〈レイクレア〉を貼り合わせた面のみが光り、〈レイクレア〉を貼っていない面は透明なままを保つ。さらに〈レイクレア〉は片側のみが光る性質をもっており、両面ともに面発光をさせたい場合は表裏ともに貼り合わせればいい。こうした特性はオフィスのパーティションなどに応用ができそうだ。
「私が光を扱う仕事を始めたころは、光源と反射鏡(リフレクター)を組み合わせる光制御が主流でした。やがて反射鏡にレンズが加わって、表現にさらなる広がりが生まれました。〈レイクレア〉は、それら反射鏡やレンズに、膜(フィルム)という新しい光制御の可能性を加えるものです。フィルムはなにより軽く、その表現力でデザインの可能性を広げることができます。曲面に貼ることも、宙に浮く軽やかな素材に光を与えることもできそうです」

面出は、〈東京駅丸の内駅舎〉の復元工事をはじめ、伊東豊雄との〈せんだいメディアテーク〉や〈みんなの森 ぎふメディアコスモス〉といった建築家らとの協業、シンガポールを代表する〈ジュエル・チャンギ空港〉〈ガーデンズ バイ ザ ベイ・ベイ サウス〉の照明計画など、国際的に活躍する建築照明デザイナーの第一人者だ。

会場ではまず〈レイクレア〉の特徴をふまえ、光の迷宮をテーマにしたインスタレーションで人々を迎えた。透明の板が次々と色を得て、時に透明に戻る。透光性のある光壁を重ねることで色が混じり合い、複雑な色表現も実現した。人の姿が見え隠れするパーティションの先には光の樹木を思わせるオブジェが現れ、次々と表情を変える樹木に人々はじっと見入った。

「当初より、〈レイクレア〉のフィルムを積層することで新しい光の世界を表現できるという直感がありました。それぞれの光が音を奏でるように、光のオーケストラともいえる世界を構築します。この空間では移動しながら光の多層的な体験ができ、まさに迷宮を思わせる空間となったのではないでしょうか」
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