DESIGN
【ミラノ・デザインウィーク】新しい一歩を踏み出した、2021年のミラノサローネ報告。
October 22, 2021 | Design | casabrutus.com | text_Takahiro Tsuchida editor_Keiko Kusano
延期されていた世界最大級のインテリア見本市、ミラノサローネが今年限りの『スーパーサローネ』として開催。市内で行われた数々の催しも好調でした。パンデミック以降の新しいデザインイベントの姿とは?
ミラノにサローネが帰ってきた。昨年は行われず、今年も恒例の4月から延期されたが、ついに9月5日〜10日にミラノサローネ特別展『スーパーサローネ』が実現。本会場〈ロー・フィエラ〉には400ブランド以上が出展して来場者は6万人を超え、その3割は国外からだった。コロナ禍以降、この規模の見本市はイタリア初であり、予想を超える成功だ。環境に配慮した会場構成や、作品発表の機会が減ってしまったデザイナーたちをサポートする企画など、今後に受け継がれそうな新しい取り組みも注目を集めた。
サローネの時期は、ミラノ市街でも数百ものイベントが開催されてデザインウィークに沸いた。どの展示会場でもワクチン接種証を求められ、屋内はマスク必須だが、その他の制約は少ない。例年より人出が少ないとはいえ、〈ディモーレギャラリー〉のように行列が絶えない展示も見られた。建築家やデザイナーとコラボレーションしたハイブランドの展示も、力の入ったものが目立った。
デザイナーの個展で他を圧倒したのはマイケル・アナスタシアデス。彼らしく直線的に構成した照明は、自然素材の竹を使った点に意外性があった。またデザイナーのラインアップが際立って秀逸だったのは〈ディオール〉の『ザ・ディオール・メダリオンチェア』展で、日本の吉岡徳仁はじめ世界各国のデザイナーが参加。歴史的な椅子を独自に解釈して創造性を競っていた。
2018年にスタートし、ミラノデザインウィークの中でもインディペンデントな出展者が集結するイベントとして定着した〈アルコーヴァ〉。コロナ禍によってデザイナー主体の発表の機会が減ってしまった現在、その存在感はますます大きい。今回は一昨年から会場を変え、植物が生い茂って一部が廃墟化した軍用施設を特別に使用して、作品とロケーションの魅力が融合した展示を行った。NYの著名な照明デザイナー、リンゼイ・アデルマンの新作はじめ見応えのある作品やインスタレーションが揃っていた。
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