DESIGN
デザイナー熊谷彰博、待望の初個展『OBJECTS』開催。
July 7, 2021 | Design, Art | casabrutus.com | text_Akio Mitomi editor_Keiko Kusano
グラフィックからプロダクト、空間まで手掛ける気鋭のデザイナー・熊谷彰博が初の個展を東京・渋谷の〈(PLACE) by method〉で開催、自然物から生まれた新作を発表する。
取るに足らないものを収集した〈無印良品 池袋西武〉の企画展「STOCK 展 - 気づきを、備える」(2015年)以来、物とのつきあい方や価値の変化を探求してきた熊谷彰博による初の個展『OBJECTS』。日本初のオー・ド・ヴィ蒸留所〈mitosaya薬草園蒸留所〉の依頼で制作したオブジェクト《Botanical Composition》と、《木目版画》の、どちらも本展のために新しく制作されたものを発表する。
《Botanical Composition》は結縄した竹に植物をかけ、重石をただ置いて構成したオブジェクト。熊谷は「森林の木々に草で編まれた紐・縄を張る。見えない空間を示す境界のはじまりは紐・縄と考えられる。竹と石が不安定ながら均衡を保つ緊張した佇まいに、ある人はしめ縄、止め石に通じた結界や進入禁止の暗示を思い起こす。植物や重石は使う人により変わっていい、不安定で倒れれば起こせばいい。自然と向き合い、記憶を媒介する微かな物」とテキストを寄せている。
《Botanical Composition》は結縄した竹に植物をかけ、重石をただ置いて構成したオブジェクト。熊谷は「森林の木々に草で編まれた紐・縄を張る。見えない空間を示す境界のはじまりは紐・縄と考えられる。竹と石が不安定ながら均衡を保つ緊張した佇まいに、ある人はしめ縄、止め石に通じた結界や進入禁止の暗示を思い起こす。植物や重石は使う人により変わっていい、不安定で倒れれば起こせばいい。自然と向き合い、記憶を媒介する微かな物」とテキストを寄せている。
一方、《木目版画》は木の板目、柾目、木口の面を再構成した“彫らない木版画”。
「物の見方、視点を変えることに関心がある。物の情報として、素材の肌理(木目・きめ)は、四季の成長により濃淡のついた春目・冬目ができ、柔らかさや吸水力が異なる。木材・木工の見方から版を考え、木目の情報を引き出す方法として、世界最古の印刷技術の木版画を選択した。木目は透視図法(大和絵)に組み合わせて立体的に見える明確な構成だが、水彩により周縁は微かになる」(熊谷)
どちらも自然物から生み出された2種類の作品は最小限の要素を抽出し、そのままの姿形が生かされている。素材に対する理解を深め、新たなかたちとして生み出す熊谷の視線を追体験できる個展になりそうだ。
「物の見方、視点を変えることに関心がある。物の情報として、素材の肌理(木目・きめ)は、四季の成長により濃淡のついた春目・冬目ができ、柔らかさや吸水力が異なる。木材・木工の見方から版を考え、木目の情報を引き出す方法として、世界最古の印刷技術の木版画を選択した。木目は透視図法(大和絵)に組み合わせて立体的に見える明確な構成だが、水彩により周縁は微かになる」(熊谷)
どちらも自然物から生み出された2種類の作品は最小限の要素を抽出し、そのままの姿形が生かされている。素材に対する理解を深め、新たなかたちとして生み出す熊谷の視線を追体験できる個展になりそうだ。
『OBJECTS』
〈(PLACE) by method〉東京都渋谷区東1-3-1 カミニート2F。 TEL 03 6427 9296。7月7日〜24日。12時~19時。日曜休。無料。
熊谷彰博
くまがや あきひろ 1984年東京生まれ。物事の関係性や仕組みを探求し、独自の視点と考察から統合的なデザインとディレクションを手掛ける。『STOCK展 − 気づきを、備える』企画・監修・会場構成(2015年)、『柳本浩市展 “アーキヴィスト ー 柳本さんが残してくれたもの”』キュレーション(2017年)、ほかアートディレクション、プロダクトデザインなど幅広く活動。 公式サイト