古今東西 かしゆか商店【伊予提灯】 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【伊予提灯】

『カーサ ブルータス』2021年6月号より

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回出会ったのは、“伊予国”愛媛でつくられる和紙提灯。江戸時代から続くお祭りの屋台に吊す、美しい名脇役です。

大型提灯に骨組みを巻く日野徹さん。
和紙を貼る糊もお手製。
工房には、小さくてまん丸な“お祭り提灯”や直径が40cm以上もある大型提灯がたくさん。すべてが手仕事でつくられています。ヒノキの木型に細い“骨組み”を巻き付け、型崩れ防止の糸を掛け、湿らせた和紙を糊で貼る。翌日型から外した“火袋”に裏和紙を貼ったら、町名などの文字や模様を描き入れます。この時に使うのは、固形の墨を半日以上水に浸けて漉し、1時間以上かけてグリグリ擦りつぶしたもの。意外だったのは、墨で線を引くのではなく、下描きした輪郭の中を塗りつぶし、絵のように描いていたことでした。
「全国のお祭りの再開を願っています」とかしゆか店主。
和紙を貼り、不要な部分はカミソリで切り落とす。
「骨組みが細かい段になっているので、普通に線描きすると凹凸になる。ひと筆で書いた文字に見えるよう、この方法を取っています」

墨汁を使うのではなく丸一日かけて墨をつくるのは、そのほうが黒い色も提灯自体も長持ちするから。文字を描いた後に油を塗って20日間も乾かすのは、雨や夜露に濡れても破れにくくするため。型に骨組みを巻く時の真剣な眼差しも印象的でした。すべての工程に、途方もない手間と愛情と時間をかけているんですね。
凸凹が出ないよう、縁を描いて墨で塗りつぶす。
「お祭りが僕たちのお正月。10月に向けて1年がかりで準備をし、祭りの日は“あけましておめでとう”と言う人もいます。祭りはみんなの心の拠り所。提灯は脇役ですがプレッシャーも大きいんです。でも、だから頑張れる」と日野さん。お祭りが人にもたらす力ってすごい! 1つ1つは小さな伊予提灯にも、大きな力や情熱が宿っているようです。

伊予提灯 作/伊予提灯工房

右/家紋を描き入れた大型提灯。左/お祭り提灯と同型の「お祝い提灯」。名前や干支の絵などをすべてオーダーで描く。直径約24cm。11,000円~(受注生産)。●いよちょうちんこうぼう/愛媛県西条市福武甲796-3 TEL 090 1000 0311。

かしゆか 

テクノポップユニットPerfumeのメンバー。2021年8月14日(土)、15(日)にぴあアリーナMMにてPerfume LIVE 2021 [polygon wave] 開催決定。人気プロジェクト「Perfume Closet」展開中。好きなお祭りは地元広島の「フラワーフェスティバル」。www.perfume-web.jp
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