トム・サックスさん、結構なお点前で。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

トム・サックスさん、結構なお点前で。

NYのノグチ・ミュージアムが、トム・サックスのお茶室になりました。

宇宙プログラムから茶の湯へと、スピンオフ。

戦国時代の兜を頭に載せ、炭を作るための木を茶室の裏で切っているトム。この「木」は彼の作品で多用される、路上で拾ったバリケード廃材だ。
10年前にNYで茶道を学んでいたトムが、本格的に茶の湯へ取り組むきっかけとなったのは、2012年に発表し現在も進行中のプロジェクト『スペース・プログラム』展だ。仮想の宇宙旅行がテーマのこの立体作品展で、「長く退屈な宇宙旅行の間、何をするのが体と心に良いんだろう? 飲酒? ゲーム?」と考えた末行きついた答えが「エクササイズと茶会」。そのとき作った茶道具から発展したのが、今回の展覧会である。
巧みなプライウッド使いは師匠フランク・ゲーリー仕込み。
トムといえば、ハローキティやマクドナルド、ラグジュアリーブランドのロゴといった大衆消費文化をモチーフにした作品を思い浮かべる人が多いはず。この茶の湯シリーズも、アメリカの日用品やポップカルチャーと、茶の湯との出会いに仰天させられる。が、ウイットに富んだ楽しい空間に仕上がっているのは、彼の日本文化への深いリスペクトがあってこそ。
湧水をわざわざ汲みに行くのが伝統のおもてなし。NYでは消火栓からダイナミックに! 
綿密に作り込んだディテールがとにかく愉快だ。NYの道端で見かけるバリケード廃材で建てた、四畳半の茶室。にじり口から入ると、花入れや床の間に飾られた掛け軸、描かれているのは千利休の姿……いや、モハメド・アリ!? アリをこよなく敬愛するトムいわく「このプロジェクトを進める上で、彼こそ心の師だった」とか。