DESIGN
土田貴宏の東京デザインジャーナル | ジノ・サルファッティの運命的な復刻。
July 18, 2014 | Design | casabrutus.com | text: Takahiro Tsuchida
家具やプロダクトの展示会を中心に、主に東京で見つけた新しいデザインのトピックを取り上げる「東京デザインジャーナル」。デザインジャーナリスト・土田貴宏が厳選してお届けします。
ハンス・J・ウェグナーは生涯に500脚以上の椅子をデザインしたというけれど、イタリア人照明デザイナーのジノ・サルファッティは600点以上の製品を手がけている。ミラノ・トリエンナーレのグランプリはじめ大きな賞を受けたものも多い。間違いなく20世紀を代表する巨匠なのに彼の知名度があまり高くないのは、大半の製品が長らく製造中止だったからだ。しかし、生前のサルファッティからすべての権利を譲り受けていたフロスが、1950年代から70年代にかけて発表された5点のランプをついに復刻。彼の偉業が、最も理想的な形で復活していくことになった。
その一連のアイテムが、カッシーナ・イクスシー青山本店で6月初めまで展示された。アーチ状のパイプによって光源の位置を自由に変えられたり、壁や天井に光を反射させたりという斬新な発想を、ミニマムな要素で実現したものが目立つ。サルファッティ自ら創業した照明ブランドの名前は〈アルテルーチェ〉(「芸術」と「光」の造語)だったが、アーティスティックな存在感はオリジナルそのまま。一方フロスは復刻にあたって光源をLEDに変更し、調光や調色といった新しい機能を加えた。最新のテクノロジーを積極的に取り入れていた、当時のサルファッティのスピリットを反映させている。ありがちな再評価の枠を超えた、コンテンポラリーで創造的な復刻だ。
その一連のアイテムが、カッシーナ・イクスシー青山本店で6月初めまで展示された。アーチ状のパイプによって光源の位置を自由に変えられたり、壁や天井に光を反射させたりという斬新な発想を、ミニマムな要素で実現したものが目立つ。サルファッティ自ら創業した照明ブランドの名前は〈アルテルーチェ〉(「芸術」と「光」の造語)だったが、アーティスティックな存在感はオリジナルそのまま。一方フロスは復刻にあたって光源をLEDに変更し、調光や調色といった新しい機能を加えた。最新のテクノロジーを積極的に取り入れていた、当時のサルファッティのスピリットを反映させている。ありがちな再評価の枠を超えた、コンテンポラリーで創造的な復刻だ。
illustration Yoshifumi Takeda
土田貴宏
つちだ たかひろ デザインジャーナリスト、ライター。家具やインテリアを中心に、デザインについて雑誌などに執筆中。学校で教えたり、展示のディレクションをすることも。