初めての「作家もの」にもぴったり!〈郡司製陶所〉展@桃居|輪湖雅江の器とごはん | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

初めての「作家もの」にもぴったり!〈郡司製陶所〉展@桃居|輪湖雅江の器とごはん

器は料理を盛ってこそ! 人気作家の最新作を発表する個展に合わせて、作家本人に料理もつくってもらっちゃおう……という無茶ぶり企画9回目。今回紹介するのは民藝の里、栃木県益子に住居と工房を構える郡司庸久・慶子夫妻の器。器好きも初心者も魅了されること必至の耐熱皿や大皿は、4月16日から始まる東京西麻布〈桃居〉の個展にて!

建物の西端を、土間のアトリエにしている。庸久さんがろくろを挽く作業台は大きな窓のそば。人が来た時は、手前の大きなテーブルでコーヒーを淹れたりおしゃべりしたり。
「ごはんは、ふたりのどちらか、お腹が減ったほうがつくります」とコンロの前に立つ庸久さんと、自作の土鍋で炊いたごはんをお櫃に移す慶子さん。キッチンはステンレスの業務用で、ダイニングとの間には、もともと持っていた収納棚を利用したカウンターを造り付けた。カウンターを中心にしてぐるっと回遊できるので、スペースはコンパクトだけれど2人で料理していても窮屈じゃない。

この日のメニューは、焦げ茶色の飴釉大皿にのせたまっ白なおむすびや、糠白釉の角皿に並べたふわふわがんもどき。〈郡司製陶所〉の器には、こういう、ふだんのごはんを盛りたくなる。色も形もシンプルなのに、何をのせても美味しそうにおさまるから不思議。たぶん、ほどよい深さやリムの幅にヒミツがあるのだろう。
直火で調理してそのままテーブルに出せる耐熱皿。オーブンに入れることもできる。この日は、菜種油を多めに熱して塩を入れ、皮をむいて切ったサトイモや菜の花、芽キャベツをじっくりグリル。
木製の鬼おろしでざくざくおろした大根に、しらすと醤油を混ぜる。オーブントースターで焼いたがんもどきにたっぷり添える。
キッチンの壁には使い込んだ道具がたくさん。棚の下段は、右から、砂糖を入れた李朝の壺、塩を入れた郡司さん作の蓋物、同じく塩を入れた倉敷のガラス瓶。
ふたりがキッチンで調理を始めたとたん、柴犬の千代がスタスタッと足元に寄ってきた。
メインは耐熱皿でつくる焼き野菜。火にかけた皿に菜種油と塩を熱してサトイモや菜の花を並べつつ、「鉄のフライパンに比べて熱が伝わるのに時間がかかる分、じっくり火が通るし一気に焦げちゃうことがない」と庸久さん。パチパチといい音がしてきたところで丁寧にひっくり返し、こんがり焼き色がついたら出来上がり。皿ごとドーンとテーブルへ置いた瞬間に、わあ~っ!と場が盛り上がる。四方から手がのびて、熱々ほくほくの野菜は次々と取り皿へ。サトイモの素朴な香ばしさも春野菜の苦みもたまらない。油と塩で焼いただけで、こんなに贅沢な味になるなんて。

「ズッキーニや夏野菜、キノコを焼くのもいいよね」「誰かとごはんを食べる時につくるのはパスタ。耐熱皿でソースをつくり、そこへ茹でたパスタを入れて和えるだけ。耐熱皿を使ってくれているお客さんに教わった方法を真似してます」「大根を厚めに輪切りして少し干すと旨味が増す。それを焼くとホントにおいしい」……代わる代わる、耐熱皿の使い方を口にする郡司夫妻。最初は真っ白だったという耐熱皿は、焦げたり油が染みたりして貫禄のある色に育っている。
耐熱皿で焼いたサトイモ、菜の花、芽キャベツ。外側はこんがり、中はほくほく。鉄の鍋やフライパンと違ってじっくり火が通るので、時間がたっても冷めにくい。
がんもどきのオーブン焼き。益子の「道の駅」で購入したがんもどきをオーブントースターで焼き、しらす入りの鬼おろしをたっぷり添えていただく。ふわっふわのがんもどきに、シャキシャキ大根の歯ごたえを残した鬼おろしのみずみずしさがちょうどいい。
えのきとワカメとネギの味噌汁。麦味噌のふんわりした甘みと香りが食欲をそそる。器は、慶子さんが金継ぎした飯碗。
土鍋で炊いてお櫃に移したごはんのおむすび。お米そのもののおいしさに惹かれて、一つ、また一つ。
味付けゆでたまご。醤油、みりん、水を煮立たせたところに半熟たまごを1日弱、漬けただけ。
自家製キュウリの糠漬け。ぴりっと一味を効かせた、すっぱくておいしい一品。
丸い鉢にキュウリの糠漬けを切って、整然と盛り付けたのは庸久さん。「それもいいけど……こうしたらもっとおいしそうだよ」と無雑作に列をくずし、ぱらぱらっと一味唐辛子を振りかけたのは慶子さん。なにげない器だからこそ、料理の種類や使い手の好み、時には思い付きによっていかようにも変化する。〈郡司製陶所〉の器はきっと、日々のこんなやりとりから生まれているんだろう。

「好きなことをやったらいい」と、ものづくりの原点を学んだ〈starnet〉の馬場さんは、そう言ってくれていた。だからというわけではないけれど、〈郡司製陶所〉の器は、形も色も大きさもバリエーション豊富。さらに、一見同じように見える器でも、フォルムのわずかな揺らぎや色の濃淡、釉薬の厚みや手触りがそれぞれに違う。使い続けると、色合いが変わったり貫入(細かなヒビ)が入ったりと日々変化するのがまた楽しい。
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