がまくんとかえるくんは彼の手から生まれました。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

がまくんとかえるくんは彼の手から生まれました。

『カーサ ブルータス』2021年2月号より

名作絵本『ふたりはともだち』を描いたアーノルド・ローベル。巨匠絵本作家の制作に迫る、日本初の展覧会が開かれます。

ゴリラの着ぐるみを着たローベル。子どもを笑わせることが好きな2児の父でもあった。(c) Adam Lobel.
かけがえのない友情と、個々が抱えている孤独の大切さ。そのことを詩的な絵とシンプルな言葉で教えてくれる名作絵本『ふたりはともだち』。この「がまくんとかえるくんシリーズ」の生みの親が、20世紀を代表する絵本作家アーノルド・ローベルだ。

だが、彼の名にすぐピン! とくる人は少ないのでは? 作品は国語の教科書に載っているほど有名だが、その人物像に迫る展示は今回が初めて。貴重な原画やスケッチ200点余りも初公開となる。

3色のみで描いた豊かな世界。

がまくんとかえるくんシリーズは当時、3色印刷で刷られていた。これは1970年代になるべく安価で絵本を流通させるための工夫。 モノクロで描かれた原画。これに印刷所で茶と緑のインクをのせる部分を指定した。
『ふたりはともだち』(1970)「すいえい」原画(墨版)Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. (c) 1979 Arnold Lobel. Used by permission of HarperCollins Publishers
『ふたりはともだち』(1970)「おてがみ」スケッチ Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. (c) 1979 Arnold Lobel. Used by permission of HarperCollins Publishers
たった3色とは思えない豊かな表現。『ふたりはきょうも』(1979)表紙下絵 Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. (c) 1979 Arnold Lobel. Used by permission of HarperCollins Publishers
注目したいのは、作品に影響を与えた生い立ちを知れること。入院を機に、学校に居場所がなくなったローベル少年は、本に没頭して寂しさを紛らわせていた。やがて得意な絵と物語づくりを生かして絵本作家になるのだが、根底にある孤独と友情への賛美をありのままに描いてヒットとなるのが『ふたりはともだち』なのだ。

インドア派だったローベル。インテリアにもこだわりが。

仕事中のローベル。物語を考える時は大きな声で音読した。(c) Adam Lobel.
センスのいいリビング。ブルックリンに住み、都会暮らしを愛した。(c) Adam Lobel.
幼い頃から読書が憩いの時間。(c) Adam Lobel.
「自分の考えを代弁してくれるキャラクターを生み出したかった」とローベル。しかもそれは、必ず “2人” 必要だったという。明るいかえるくんと、内気ながまくん。両者に共感するのが人間という複雑な生き物であり、その気持ちは年齢や性別を超えて誰もが同じ。多様性が叫ばれ始めた70年代のアメリカで、人ではないキャラクターに人生で最も大切だと思うことを託したのではないか。ローベルの魅力ある人柄を知れば、彼の絵本がさらに輝き始めるはずだ。

アーノルド・ローベル

1933年生まれ。絵本作家。NYで育ち、ブルックリンを拠点に活動する。妻は同じく絵本作家のアニタ・ローベル。『ローベルおじさんのどうぶつものがたり』など生涯100冊近い絵本を生み出した。晩年、同性愛者であることを告白。エイズを患い1987年に54歳で他界。

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