古今東西 かしゆか商店【本場結城紬の反物】 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【本場結城紬の反物】

『カーサ ブルータス』2020年11月号より

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回出会ったのは、1500年の歴史を持つ茨城県の結城紬。世界に類のない手技で糸をつむいで織る、絹織物の原点です。

重要無形文化財指定技術「絣括り」を拝見。極細の絹糸の束に印を付け、木綿糸で括って防染。
「一般的な紬は、機械で繭から糸を引き出しながら撚り(回転)をかけますが、結城紬は糸取り職人が指で直接糸を引き出します。1本1本の繊維を束ね、撚りをかけず空気を含ませながら糸にする。世界に類を見ない方法です」

と話す職人さんの指先から極細の白い糸がシュルシュルと魔法みたいに現れます。触ると「えっ?」と驚くほどふわっふわ。結城紬が軽く暖かいのは、絹糸が空気をたっぷり含むからなんですね。
反物を掛けて着物の形に整えてもらう。「帯との柄合わせも素敵」とかしゆか店主。
反物は水を通し自然の風で乾かす。
絣の柄をつくる「絣括り」にも目が奪われました。糸の段階で模様になる部分を木綿糸でくくって染めるのですが、その細かさは気が遠くなるほど。有名なのは六角形の亀甲柄で、反物ひと幅(約36cm)に柄が160個並ぶことも! そして昔ながらの織機「地機」がまたすごい。織る人の腰に経糸を回し、糸の張り具合を自分の体で調節しながら織るもので、近隣にある1500年前の古墳から地機の埴輪が出土したこともあるんですって。地機で織る布は風合いが抜群によくなる反面、時間はかかるし技術も体力も必要。今では結城紬と越後上布以外、ほとんど使われていないそうです。
地機で1日に織れる限度は6~7cm。
見学後、本場結城紬の反物を体に掛けていただいたところ、軽くて滑らかな手触りにうっとり。

「手でつむいだ糸は繊細なので小麦粉で糊付けします。洗い、乾かし、長く着続けると体になじんで柔らかくなる。真綿のケバも取れて絹本来の光沢が現れるんです」という職人さんの言葉が胸に響きました。世代を超えて愛用されることで美しさが増す結城紬。着物への憧れは高まるばかりです。

本場結城紬の反物 作/奥順

右/経糸・緯糸ともに手つむぎ糸を使って地機で織った本場結城紬。縁起のいい葡萄唐草模様。価格は応相談。左/本場結城紬のストール308,000円。●おくじゅん/茨城県結城市大字結城12-2。商品はショップや体験施設も併設した〈つむぎの館〉で見学可能。

かしゆか

テクノポップユニットPerfumeのメンバー。シングル「Time Warp」発売中。10月23日衣装本『Perfume COSTUME BOOK』発売。好きな美術館は直島〈地中美術館〉。特にタレルの部屋。http://www.perfume-web.jp

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