土田貴宏の東京デザインジャーナル|E&Y「evergreen」展に見るデザインの最前線 | ページ 4 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

土田貴宏の東京デザインジャーナル|E&Y「evergreen」展に見るデザインの最前線

30周年を迎えた〈E&Y〉の展覧会が、東京・六本木のアクシスギャラリーで開催中だ。トム・ディクソン、マイケル・ヤングをはじめ、国内外の優れたデザイナーを起用してきた家具レーベルの”evergreen(エバーグリーン)”とは。

もうひとつの新作は、今年9月にロンドンのデザインミュージアムで発表されたばかりの〈エディション・ホリゾンタル〉の5点。〈エディション・ホリゾンタル〉は2010年にスタートしたコレクションで、“機能”という制約に縛られないオブジェが並ぶ。起用されたクリエイターの作家性や、その核にある思想が、きわめて高い純度で表現されたものばかりだ。
〈エディション・ホリゾンタル〉の新作。左から、白木麻子の《フィル》、フェイ・トゥーグッドの《ポッツ》、尾原史和の《ルールブック》。いずれも機能よりも、デザインやその存在に対する洞察から作家ごとにコンセプトが導かれている。
今回は、卓越したセンスで注目度を高めるイギリスのフェイ・トゥーグッド、ベルリンを拠点に活動するアーティストの白木麻子、音や動きと結びついた作品で知られる在ロンドンのスズキユウリらが参加。従来のデザインの領域を広げるような彼らの表現は、既成概念を取り払って作品に向き合うことで、個々の存在意義が浮かび上がってくる。こうした方向性は日本では理解されにくい面もあるが、デザインを取り巻く常識に対するアンチテーゼでもある。

展示された一連の新作には、設立当初からの先鋭性を保ち続ける〈E&Y〉らしさが鮮やかに表れている。彼らは常にデザイナーたちの作家性と創造性を重視し、製造やコストの制約があっても妥協を許さない。そのため、製品化に向けた開発がある程度まで進みながら、最終的に世に出ないケースは少なからずあるという。“30歳”になってもまだまだ丸くなる気配はない。代表の松澤剛は、「いつまでも大人にならない」のはレーベルとして不変のことだと話す。展覧会タイトルの”evergreen”には「ずっと若々しい」という意味合いもある。今回のエキシビションの本意は、実はこちらのほうにあるようだ。

E&Y 30th Anniversary exhibition “evergreen”

〈アクシスギャラリー 〉

東京都港区六本木5-17-1
。2015年12月12日〜20日。TEL03 3587 2781。入場無料。公式サイト

土田貴宏

つちだたかひろ  デザインジャーナリスト、ライター。家具やインテリアを中心に、デザインについて雑誌などに執筆中。学校で教えたり、展示のディレクションをすることも。

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