伝統こけしの産地・鳴子温泉へ|行くぜ、東北。
古きよき温泉街の風情が今も残る鳴子温泉は、伝統こけしの産地としても有名。東北発祥の木製玩具・こけしは、戦後の第2次民藝ブーム以降、観賞用として幅広い世代から人気を集めています。伝統をさまざまな形で第3次民藝ブームといわれる現在に伝える、2軒の老舗を訪ねました。
鳴子にはこけしの絵付け体験をできる店もある。軒下まで届く巨大なこけし看板で有名な老舗〈桜井こけし店〉でも、10年ほど前から絵付け体験を行っている。
こけしは産地ごとにさまざまな特徴があることでも知られる。鳴子の伝統こけしは、胴体に緩やかなくびれがあり、頭の部分が回って「キュキュッ」と音が鳴るのが特徴。胴の部分には菊の絵柄が描かれるのが一般的だ。
こけしは産地ごとにさまざまな特徴があることでも知られる。鳴子の伝統こけしは、胴体に緩やかなくびれがあり、頭の部分が回って「キュキュッ」と音が鳴るのが特徴。胴の部分には菊の絵柄が描かれるのが一般的だ。
絵付け体験では、鳴子の伝統こけしを手本にしてもいいし、独自の好きな絵柄を描くのも自由。鳴子こけしの黒、赤、緑3色の画材が用意されていて、まず紙に練習として下書きをし、それから実際に木地に絵を付けていく。紙で上手く描けても、いざこけしに描くとなると練習のようにはいかないのが悩ましいが、自分で絵を付けたこけしは旅の大事な思い出になる。
〈桜井こけし店〉で絵付け体験を始めたのは「自分でもやってみたい」というお客さんの要望があったからだという。「こけしについて知っていただき、親しんでいただくいい機会になれば」と話す桜井昭寛さんは、店の5代目。戦後、鳴子屈指の工人として脚光を浴びた父・昭二さんの意思を受け継ぎ、伝統こけしを作り続けている。こけし雛など、いわゆる創作こけしの製作にも意欲的。東京をはじめ各地の民藝品を扱う店でも絵付けのワークショップや講演を行っている。いま、再び静かなブームになっているこけし。その裏には「次代の伝統を作る」という気持ちで仕事に向き合う職人の姿があった。