古今東西 かしゆか商店【純銅のおろし金】 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【純銅のおろし金】

『カーサ ブルータス』2020年6月号より

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回出会ったのは料理のプロも愛用する純銅のおろし金。その小さな刃は埼玉県の工房で「目立て」されていました。

目立てに使う道具は鋼鉄の鏨(たがね)と金槌のみ。
1712年編纂の『和漢三才図会』。羽子板型おろし金の絵と「わさびをろし」の文字。
「当時は“わさびおろし”と呼ばれていたのが、江戸の町で天ぷらが人気になるにつれ、大根おろしの道具として広まったそうです」

そう話しながら、春原さんが鏨を銅板に当て、金槌で叩いて目立てを始めました。カカン、カカン、カカン、カカン。軽く強く、軽く強くという一定のリズムで金槌の硬質な音が響きます。特徴は、押した時も引いた時もしっかりおろせるよう、正目と逆目の2方向から刃を立てること。それを表裏両面、つまり1枚つくるのに4面分の“カカン”を繰り返します。
純銅おろし金職人の春原さんと。
2方向から刃を立てるのが特徴。左手で持った道具が鏨。
「一列に打つ目の数は、あまり数えていません。ひと目ひと目をしっかり立て、間隔を揃えることに集中します。手で打つので目の角度や間隔が少しずつ不揃いになるのですが、実はそのバラつきがおろしやすさにつながるんです」

そう聞いて実際に大根をおろして見たところ、力を入れなくてもするするっとラクにおろせます。そしてとってもみずみずしい! 
目立てした銅板を見て「刃先がとても鋭いんですね」とかしゆか店主。
「ウチのおろし金は“刃物”です。たくさんの鋭い刃先で小さい粒に“切りおろす”ので、力を入れる必要がなく、繊維と水が分離しない。だから水分をたっぷり含んでふわっとした食感になるんです」

手づくりのおろし金は10年20年と長持ちするうえ修理も可能。一度目をつぶして平らにならし、イチから目立てし直すそうです。いいものをつくるだけでなく、長く使い続けるための手段も提案してくださっていることがうれしい。
昔ながらの羽子板型。
今回買い付けたのは使いやすかった4番サイズ。大根おろしはもちろん、レンコンをおろしてお味噌汁に入れるとおいしいと聞いたので、試してみようと思ってます。

純銅おろし金 作/大矢製作所

右/表の面は野菜や根菜、果物に適した刃、裏面はワサビやニンニクにいい小さな刃。4番(全長22.5×幅13㎝)8,200円。左/片面のみの薬味用。手のひらにのせて使える。亀(上)2,000円、鶴2,100円。●おおやせいさくしょ https://ooya-seisakusho.com/

かしゆか

テクノポップユニットPerfumeのメンバー。新曲「Challenger」の、公募アイデアから生まれたMVメイキングを公開中。海外の現代アーティストではアン・トゥルイットに興味あり。www.perfume-web.jp
会員プログラム

登録者数12,000人突破!

建築家のアトリエ見学/名作家具プレゼント/限定メールマガジン…すべて無料。

建築家のアトリエ見学に、名作家具プレゼントも。

いますぐ登録!