機能を超えて生まれた形、《キャブ》の思想に迫る。 | ページ 3 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

機能を超えて生まれた形、《キャブ》の思想に迫る。

「完璧な形態を生むのは機能ではない」とベリーニ。名作《キャブ》の新モデルを通して、彼の哲学を聞いた。

Q《キャブ》が現在まで広く愛される理由は何だと思いますか?
デザインだ。もう少し詳しく話そうか? 椅子は何千年も前から人類が使ってきたもので、新しいデザインなど不可能だと思っていた。だが私は建築家で、椅子デザイナーではないから、その原点に立ち返ることができたんだ。私は子供が描く線画のような椅子を考えた。そのシンプルな線に革をかぶせると、画期的な椅子になった。椅子の原初の形でありながら、同じ椅子は他に1つもなかった。そこが成功の秘訣だろう。

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Q あなたは「形態は機能に従う」というデザインの原則を否定し、慣習、感情、文化が形態を作ると言います。その真意とは?
機能に従えば完璧な形が生まれるなんて馬鹿げているよ。そして慣習、感情、文化などから生まれる形だって機能的でありうる。機能が生み出した名作とされるものに、ル・コルビュジエの椅子がある。しかし彼は素晴らしい芸術家であり、だからこそ現代も感動を誘う家具になったと私は思う。彼にとっての機能は、文化や時代と深く結びついていたはずだ。

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Q来年のミラノサローネで新作発表の予定はありますか?
納得のいくものができれば、だね。デザイナーは生涯に2つか3つ、いいものが発表できたら上出来だろう。20もの名作を作ろうなんて考えるのは無理なことだ。それに最近はデザインのインフレが進み、無駄なものがあまりに増えすぎてしまった。日本の箸を毎年デザインし直す必要はないだろう? 椅子だって本当は同じ。サローネは、日本の伝統文化の対極にあるのかもしれないね。家具とは単に機能を提供するものではない。人間が使うことでそこに意義が生じ、崇高な関係さえ生まれうる。デザイナーは、そんな思いでデザインに取り組むべきなんだ。

マリオ・ベリーニ

1935年ミラノ生まれ。ミラノ工科大学を卒業し、建築家やデザイナーとして活動。権威あるコンパッソ・ドーロ賞を8回も受賞するなど、イタリアデザインを象徴する存在となる。80年以降は建築も多く手がける。

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