DESIGN
土田貴宏の東京デザインジャーナル|注目の来日デザイナー3人にフォーカス!
November 21, 2015 | Design | casabrutus.com | text_Takahiro Tsuchida editor_Keiko Kusano
10月後半から11月初めにかけて、今年も盛り上がりを見せた東京のデザインウィーク。世界のシーンを代表するデザイナーも多く来日して最新のクリエイションを伝えた。中でも注目の3人とは。
マリオ・ベリーニ、パオラ・ナヴォーネ、トム・ディクソン、ショルテン&バーイングスのステファンなど、世界的なデザインシーンのキーパーソンが続々と東京を訪れた今年の秋。以前に比べて海外の新進デザイナーが自分を売り込むようなイベントが減り、完成度の高いプロダクトやプロジェクトを見せるイベントが目立っていた。
特に話題を呼んだのはドイツ人デザイナー、コンスタンチン・グルチッチの来日だった。家具などのプロダクトを主な題材とし、その歴史を俯瞰しながら革新を試みる彼の活動は、常に大きな注目を集める。
特に話題を呼んだのはドイツ人デザイナー、コンスタンチン・グルチッチの来日だった。家具などのプロダクトを主な題材とし、その歴史を俯瞰しながら革新を試みる彼の活動は、常に大きな注目を集める。
今回、グルチッチは無印良品のプロジェクト〈MUJI HUT〉に深澤直人やジャスパー・モリソンとともに参加。トラックの荷台を転用した《アルミの小屋》を発表した。プロダクトとして流通するポテンシャルを秘めた、グルチッチらしい先見的な野心作だ。彼はイタリアの〈マジス〉の東京ショールームの新作展や、ヤマギワで行われた〈ドリアデ〉展示会のレセプションにも訪れて、多くの来場者と気さくに会話していた。数年前に比べると、彼のようなタイプの創造性が日本でも広く受け入れられるようになったことに変化を感じる。
またグルチッチのアシスタントデザイナーだった経歴を持つステファン・ディーツは、デンマークの人気ブランド〈HAY〉から発表している《ニューオーダー》に加わった新しいオフィスシステムを展示。《ニューオーダー》はモジュール式の収納家具で、シンプルなパーツでジョイントできるデスクはその拡張性を格段に高める。すみずみまでスクエアで硬質なデザインでありながら、〈HAY〉らしいモダンさや遊びのあるコーディネートにもよく合う。
さらに、ディーツは有田焼創業400周年に合わせて、来年4月にミラノで発表される〈2016 / Arita〉にも参加。派手なタイプのデザイナーではないが、ただ堅実なだけでなく、実験精神を基点にもの作りを志向するところが頼もしい。
Loading...
illustration Yoshifumi Takeda
土田貴宏
つちだ たかひろ デザインジャーナリスト、ライター。家具やインテリアを中心に、デザインについて雑誌などに執筆中。学校で教えたり、展示のディレクションをすることも。