古今東西 かしゆか商店【甲州印伝の巾着】 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【甲州印伝の巾着】

『カーサ ブルータス』2020年2月号より

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回出会ったのは400年の歴史を誇る山梨の「甲州印伝」。50年前まで門外不出だった技による、革と漆の手仕事です。

鹿革に型紙を置いた上から漆を摺り込む。
燻べの技。煙で30分燻すのを10回前後繰り返すと煙の色素で白革が褐色に。
「型紙は職人が小刀で柄を手彫りする伊勢型紙。模様は同じでも線の感じが微妙に変わることがあり、それも手仕事の味わいです」と伝統工芸士の大森幹雄さん。型紙はヘラで強く摺るので傷みも早い。何度も直しながら3年5年と使い続けるそうです。
伝統工芸士・大森幹雄さんと。
漆付けに使うのは和紙を手彫りした伊勢型紙。写真は前掲の巾着と同じ亀甲柄。
一方「燻べ」は、タイコという大きな筒に貼った鹿革を、藁を焚いた煙で燻すことで褐色に仕上げる古来の技。正倉院宝物に伝わる印伝の足袋も、現在とあまり変わらぬ燻べの技で作られています。その技法を今日まで伝承してきたこちらでは、燻べの商品に限り、型から別注するオーダーメイドのみ。その特別感に心惹かれます。そもそも昔はすべての手仕事が「お誂え」だったんですよね。
併設の博物館で。「江戸時代の巾着は味わいがありますね」。
さて、〈印傳屋上原勇七〉の店舗には、財布や名刺入れなど漆付けの革小物がたくさん並んでいます。迷っていたらスタッフの方が「ものが語るんですよ」とひとこと。「伝統や知識も大切ですが、もっと大事なのは、もの自体から伝わってくる魅力です」。その言葉からは、いいものを作り続けている自信と誇りが感じられました。
漆付けを施した革。
今回買い付けたのは、普段使いしてみたいと思ったモノトーンの巾着。メイク道具などを入れてバッグに忍ばせたら、取り出すたびにちょっと嬉しくなりそうです。

甲州印伝の巾着 作/印傳屋上原勇七

右/巾着《亀甲》。黒革に白漆。12×11×4.5㎝ 4,500円。左/メガネケース(L)《紫陽花》がま口タイプ。紺革に白漆。8×17×2㎝ 6,000円。●いんでんやうえはらゆうしち/甲府本店:山梨県甲府市中央3-11-15 TEL 055 233 1100。10時~18時。無休。

かしゆか

かしゆか テクノポップユニットPerfumeのメンバー。ベストアルバム『P Cubed』発売中。2月より『Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome』スタート。日本の古い祭が気になる。www.perfume-web.jp

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