〈リヒト〉が仕掛けるエディションシリーズ。第一弾は、二俣公一《ピヨド》。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

〈リヒト〉が仕掛けるエディションシリーズ。第一弾は、二俣公一《ピヨド》。

今年2月、中目黒にオープンしたデザインギャラリー〈リヒト〉が、新たなステージを目指して、デザイナーの純粋な想いを形態化したオブジェを少数生産・販売していくエディションシリーズを始動した。その第一弾は二俣公一デザインによるオブジェクト《ピヨド》。身近な素材、簡易な工法から見出したデザインの可能性とは。

新作《ピヨド》を手に、発想のプロセスを語る二俣公一。
メーカーとデザイナーとのコラボレーションから、次々に新しいデザインが生まれ出る一方で、その大半が“売れること”を前提に考えた商業主義のもとに成り立っている事実も否めない。

「デザイナーのピュアなアイデアが実直に生かされているデザインがどれほどあるのか。そんな思いから、自分が純粋にイチから提案できるものに挑戦したかったのです」
シナ合板の基本構造と独自の柔らかさを生かしたオブジェクト《ピヨド》の座面。
座ると薄板がしなり、体重を優しく受け止める。
そう語る二俣公一は、2016年に手がけた、ホームセンターで手に入る合板で自作したオブジェクト《P(L)Y(W)O(O)D》を原型に、簡易な素材とシンプルな構造体で可能な独自の形を追求していった。考察を重ねるなかで、二俣が注目したのは、共心のシナ合板(共心とは、表面材だけでなく、中芯にもシナ材を用いて貼り合わせたもの)の重層構造。薄板が重なり合う構造から機能を見出すべく、4mm厚のベニヤ3枚のあいだに2層の中空構造を設けたことで、上から荷重をかけたときに中空でしなったベニヤがクッションのような役割を果たす仕組みを見出した。
直線のみで構成されたシンプルな形のなかに、二俣の繊細な思いがたくさん詰まっている。
脚を水平方向につなぐ貫(ぬき)は、2重にして構造を強化。また、それらを固定するビスの向きを均一に揃えるなど、ディテールまで細かに配慮している。
「自分はミニマリストでもないし、決してアクロバットなことにチャレンジしたいわけでもありません。でも、最小限の素材、つくり、工法などから広がりのあるプランを考えていくのは、胸が高鳴ります。《ピヨド》を通じて、キャリアを始めた頃に思い描いていたデザインの自由な創造力、無限の可能性を改めて認識することができました。この感覚は、今後は自分が手がける建築やインテリアにも反映できるような気がしています」

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