デザインで巡るチェコ100年の旅へ|青野尚子の今週末見るべきアート | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

デザインで巡るチェコ100年の旅へ|青野尚子の今週末見るべきアート

2018年、建国100年を迎えたチェコのデザインの1世紀をたどる展覧会が始まりました。〈チェコ国立プラハ工芸美術館〉の所蔵品を中心に、かわいいものからシャープなものまで、チェコ・デザインのさまざまな顔が楽しめます。

1946年にデザインされたラジスラフ・バルトニーチェクのスツール。帯状に編まれた座面は丈夫で座り心地が良さそうだ。
1939年、ナチス・ドイツに併合され、第二次世界大戦に巻き込まれていったチェコでは工業生産は停滞し、その代わりに民族的な装飾を活かしたデザインが復活した。木で作ったスツールや器など、素朴な味わいのあるプロダクトは日本の民藝にも通じる。
ミロスラフ・ナヴラーチル《シェルチェア》(左)とラドミール・ホフマン、トン社の椅子(右)。1950年代後半以降、原色やパステルカラーが取り入れられるようになる。
ヤロスラフ・イェジェク、ロイヤル・ドゥクス社のボウルセット。1950年代後半の製品。フチの曲線が愛らしい。
右はスタニスラフ・ラフマンの掃除機「ETA 402ジュピター型」。1950年代にはこんなソリッドな形が流行した。
ミロスラフ・ナヴラーチル《シェルチェア》(左)とラドミール・ホフマン、トン社の椅子(右)。1950年代後半以降、原色やパステルカラーが取り入れられるようになる。
ヤロスラフ・イェジェク、ロイヤル・ドゥクス社のボウルセット。1950年代後半の製品。フチの曲線が愛らしい。
右はスタニスラフ・ラフマンの掃除機「ETA 402ジュピター型」。1950年代にはこんなソリッドな形が流行した。
戦後、社会主義の締め付けが一段落した1950年代後半からは「チェコ版ミッドセンチュリー」とでも言うべきデザインが登場する。宇宙への有人飛行の成功を受けて、軽さ、無重力を想起させる形が流行した。またプラスチックによる製品が大量生産されるようになり、有機的な形態とポップな色合いのデザインが量産される。
1970年の大阪万博チェコスロバキア館のために作られたアームチェア《オオサカ》。ヤン・シュラーメク、ズビニェク・フジヴナーチュ、ヤン・ボチャンのデザイン。ほぼ長方形の曲げ木のフレームに座面と背が収まっている。
手前からイジー・ホフマン、プラスチマト社のハンド・ミキサーと牛乳容器、果物用皿《クルミ》、70〜80年代のストリングバッグ。70年代には日本と同様、プラスチック製品が量産された。《クルミ》も木に見えるがプラスチック製だ。
1970年の大阪万博チェコスロバキア館のために作られたアームチェア《オオサカ》。ヤン・シュラーメク、ズビニェク・フジヴナーチュ、ヤン・ボチャンのデザイン。ほぼ長方形の曲げ木のフレームに座面と背が収まっている。
手前からイジー・ホフマン、プラスチマト社のハンド・ミキサーと牛乳容器、果物用皿《クルミ》、70〜80年代のストリングバッグ。70年代には日本と同様、プラスチック製品が量産された。《クルミ》も木に見えるがプラスチック製だ。
80年代に世界の建築・デザインを席巻したポスト・モダンの波はチェコにも及んでいた。厳格な機能主義に縛られない、装飾的な意匠を追求するものだ。トーネットの椅子を改変したものなど、とくに家具の分野でユニークなデザインが登場する。
トーネットの椅子をアレンジしたミハル・ブリクスの椅子と折りたたみ椅子。既存の意匠を引用するのはポスト・モダンの手法の一つ。
ミラン・クニージャークの椅子。半分しかないように見えるが、ちゃんと座れる。
トーネットの椅子をアレンジしたミハル・ブリクスの椅子と折りたたみ椅子。既存の意匠を引用するのはポスト・モダンの手法の一つ。
ミラン・クニージャークの椅子。半分しかないように見えるが、ちゃんと座れる。
1989年の「ビロード革命」に続く一連の社会体制の変動により、2004年にはチェコはEUに加盟した。西側からより多くの情報が入ってくるようになり、亡命していたデザイナーも戻ってくる。チェコには新しく多くの家具メーカーが設立され、チェコのデザイナーとコラボレーションしてそれまでにない家具を生み出している。
ヤン・チュトゥヴルニーク、エムエムインテリアの椅子《コクシー》。右後ろはラジム・ババーク、ヤン・トゥチェクのランプ《PUR》。どちらも2000年前後のデザイン。
(手前)いろいろな向きで使えるジェリー・コザの多機能椅子《でんぐり返し》。
ヤン・チュトゥヴルニーク、エムエムインテリアの椅子《コクシー》。右後ろはラジム・ババーク、ヤン・トゥチェクのランプ《PUR》。どちらも2000年前後のデザイン。
(手前)いろいろな向きで使えるジェリー・コザの多機能椅子《でんぐり返し》。
展覧会の最後にはテーマ展示として子どものおもちゃとチェコ・アニメーションの資料が並ぶ。20世紀初頭の素朴な木の人形や60〜70年代のプラスチックを使ったカラフルなおもちゃはどれも日本のものとはひと味違う、独自の愛らしさがある。日本でも人気の「もぐらのクルテク」などアニメのセル画も貴重だ。