古今東西 かしゆか商店【線香花火】 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【線香花火】

『カーサ ブルータス』2019年9月号より

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回の買い付けは、懐かしさに胸がキュンとする線香花火。天然の材料だけで花火を手づくりする福岡の工房を訪ねた。

「配合した原料を樫の木片とともに攪拌します」と3代目の筒井良太さん。
火薬の原料。松煙(上)と硫黄(右)と硝石。
「配合した原料を樫の木片とともに攪拌します」と3代目の筒井良太さん。
火薬の原料。松煙(上)と硫黄(右)と硝石。
自然の材料を使った線香花火は、できたてより10年20年経ったほうが“いい花火”になるという話にも驚きました。火薬がなじんで熟成され、火花が柔らかみを増すそうです。

「ただ、火薬の材料の松煙(30年経った松の切り株をいぶした煤の粉)も西の花火に使う藁も、年々確保が難しくなっている。なので自分たちで米をつくって稲藁を採ったり、松煙づくりの準備を始めたりしています」と筒井さん。
「火花を見ていると無心になれる」とかしゆか店主。
花火は1本から買える。
「火花を見ていると無心になれる」とかしゆか店主。
花火は1本から買える。
初めて知ることばかりの今回。ちょっとうれしかったのは、何年かぶりの線香花火を楽しんで、子どもの頃と同じように感動できたこと。ほんの1〜2分の間にさまざまな形に変化する火花を見て、花火にはドラマがあることも感じました。“火花を眺める時間”を大切な家族や友人に贈るのもいいかもしれない。買い付けは「東の線香花火」に決定です。

「今後は、花火で遊べる場の開拓にも力を入れる予定です」という筒井さんのことばどおり、都会でも気軽に楽しめる場所が増えるといいな、と心から思います。

線香花火 作/筒井時正玩具花火製造所

右/東の線香花火。火花が4段階に変化する。左/西の線香花火。ともに15本600円。 つついときまさがんぐはなびせいぞうしょ/福岡県みやま市高田町竹飯1950-1 TEL 0944 67 0764。7月、8月は11時〜18時。水曜休。他の月はHPで。

かしゆか

樫野有香(かしゆか) テクノポップユニットPerfumeのメンバー。9月18日に全52曲入りの初ベストアルバム『Perfume The Best “P Cubed”』をリリース。行きたい動物園は旭山動物園。www.perfume-web.jp