行列必至! 十場天伸・十場あすか展@The Good Luck Store|輪湖雅江の器とごはん | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

行列必至! 十場天伸・十場あすか展@The Good Luck Store|輪湖雅江の器とごはん

器は料理を盛ってこそ! ということで、人気作家の最新作を発表する個展に合わせて、作家本人にも料理を作ってもらおう…という無茶ぶり企画3回目。スリップウェアや瑠璃色の器に行列ができる十場天伸と、白い器で人気の十場あすか夫妻が暮らす、里山の工房を訪ねました。ふたりの個展は滋賀県彦根の〈The Good Luck Store〉で1ヶ月にわたって開催されます。

天伸が生まれ育った古民家を改装した自宅。茅葺き屋根は職人とともに自分たちで葺き直した。
茅葺き屋根の屋根裏空間。アメリカやイギリスの古いスリップウェア、インドの壺など古い焼き物を並べ、ギャラリースペースにしている。照明のシェードは天伸が焼いたもの。
リビングの外には広い縁側と緑いっぱいの景色が続く。天伸の感性は、この豊かな環境と風景に育まれた。
十場家の愛猫ニャース(オス・たぶん16歳)。写真に写っているのはヒト用の器だが、玄関にはあすかさんが薪窯で焼いたエサ用の皿もあった。
自宅のすぐそばにある窯の小屋。自ら耐熱レンガを積んでつくった倒炎式の薪窯と穴窯があり、ほぼ毎月、どちらかの窯で焼成している。
今年つくったばかりの穴窯。穴窯は古くからある登り窯の一種。薪の灰が窯内に積んだ器にふりそそぎ、自然の釉薬となって豊かな表情をつくる。「灰がしっかり被るような器をつくろうと思っています」と天伸。
天伸が生まれ育った古民家を改装した自宅。茅葺き屋根は職人とともに自分たちで葺き直した。
茅葺き屋根の屋根裏空間。アメリカやイギリスの古いスリップウェア、インドの壺など古い焼き物を並べ、ギャラリースペースにしている。照明のシェードは天伸が焼いたもの。
リビングの外には広い縁側と緑いっぱいの景色が続く。天伸の感性は、この豊かな環境と風景に育まれた。
十場家の愛猫ニャース(オス・たぶん16歳)。写真に写っているのはヒト用の器だが、玄関にはあすかさんが薪窯で焼いたエサ用の皿もあった。
自宅のすぐそばにある窯の小屋。自ら耐熱レンガを積んでつくった倒炎式の薪窯と穴窯があり、ほぼ毎月、どちらかの窯で焼成している。
今年つくったばかりの穴窯。穴窯は古くからある登り窯の一種。薪の灰が窯内に積んだ器にふりそそぎ、自然の釉薬となって豊かな表情をつくる。「灰がしっかり被るような器をつくろうと思っています」と天伸。
「僕、高校卒業後にアメリカのフィラディルフィアへ渡って、陶芸を勉強しながら日本料理店で料理をつくっていたんです。2年間くらいだったかな」と話しながらキッチンに立ち、自作の両手鍋で麻婆豆腐をつくり始めた天伸。確かにものすごく手際がいいし、だから十場の器は料理が映えるんだなあと納得させられる。

いっぽうで、あすかの白い器は温かみがあって品がよくて、ごはんがとてもよく似合う。釉薬は田んぼで採れる稲ワラを使った藁白釉。今回の個展に出す器は薪窯で焼いたもので、しっとりした質感やムラのある表情が魅力的だ。特にやや深めのリム皿は、ごはん+麻婆豆腐、ごはんの上におかずをのせる……みたいな使い方をすると、すごくいい。「結構たくさん盛ってもリムが広いからきれいに見えるし、おかゆでもチャーハンでも、なんだか格上げされて見えるんです」と、あすか。
土間だったところを改装したキッチンダイニング。室内の改装は大阪の〈DEPT〉が手がけた。キッチンは業務用のステンレスカウンターにコンクリートのシンクを合わせたもの。ダイニングテーブルの天板には、京都の和紙職人ハタノワタルが黒谷和紙を貼った。
スリップウェアの耐熱鍋を火にかけて麻婆豆腐をつくり始める。最初に山椒の葉など薬味をじっくり炒めるのがポイント。どっしり重いので調理中も安定感抜群。
食材や器を上手によけながらキッチンで遊ぶニャース。カウンターではスリップウェアの深皿で豆苗を水耕栽培中。
1週間のうち土・日・月曜は天伸、火~金曜はあすかが料理をつくる。昼は幼稚園や小学校に通う子供の分といっしょに弁当をつくっておく。
あすかのリム皿に土鍋ごはんをよそい、アツアツの麻婆豆腐をのせる。リムが広い器は、盛り付けがラクできれいに見えるのが魅力。
キッチンの壁につくりつけた食器棚。棚板の間隔が狭めなので、一段ごとにたくさん重ねなくて済む。取り出しやすいし、収納した器をまんべんなく使える。
土間だったところを改装したキッチンダイニング。室内の改装は大阪の〈DEPT〉が手がけた。キッチンは業務用のステンレスカウンターにコンクリートのシンクを合わせたもの。ダイニングテーブルの天板には、京都の和紙職人ハタノワタルが黒谷和紙を貼った。
スリップウェアの耐熱鍋を火にかけて麻婆豆腐をつくり始める。最初に山椒の葉など薬味をじっくり炒めるのがポイント。どっしり重いので調理中も安定感抜群。
食材や器を上手によけながらキッチンで遊ぶニャース。カウンターではスリップウェアの深皿で豆苗を水耕栽培中。
1週間のうち土・日・月曜は天伸、火~金曜はあすかが料理をつくる。昼は幼稚園や小学校に通う子供の分といっしょに弁当をつくっておく。
あすかのリム皿に土鍋ごはんをよそい、アツアツの麻婆豆腐をのせる。リムが広い器は、盛り付けがラクできれいに見えるのが魅力。
キッチンの壁につくりつけた食器棚。棚板の間隔が狭めなので、一段ごとにたくさん重ねなくて済む。取り出しやすいし、収納した器をまんべんなく使える。
ふたりがつくった料理がテーブルに並ぶ。火から外してもぐつぐつと美味しそうな音が聞こえる麻婆豆腐にまずは気持ちが盛りあがる。そして、ハッと目を奪われるのが夏野菜をのせた深いブルーの器。天伸がずっとつくり続けている “ソーダ釉” の大皿やオーバル皿だ。「オーバルのうつわって、ラフに盛り付けても絵になるんですよ。一度使うとあまりに重宝で、こればっかり使ってしまう。収納もしやすくて片付けやすいところもいい」と、あすか。
主役はスリップウェアの耐熱鍋で作った麻婆豆腐。「まず、山椒の葉、生姜、ニンニク、豆板醤をしっかり炒めます。みじん切りの玉ねぎと細かく切ったズッキーニを加え、鳥と豚のミンチを入れてさらに炒める。いりこと昆布の水出しを入れ醤油で味を整えたら、切った豆腐を別鍋でボイルしてから湯をきって入れる。水で溶いた葛粉でとろみをつけ、青ネギの千切りをドバッとかけたら完成」
「青い器は使うのが難しいと思われがちでしょう? でも全然そんなことない。すごくいいんですよ。赤や黄色の野菜も映えるし、白い食材も似合う。実はイギリスでとても人気があるんです。揚げ物やポテトなどの茶色っぽい料理も断然おいしく見えるからって」

そう天伸が話すソーダ釉の器は、深い海のような夜空のような美しい瑠璃色をしている。ソーダ釉とは、中世ドイツで始まった塩釉の技法を改良したもの。熱湯で溶かしたソーダ(炭酸ナトリウム)を窯に投入し、独特のまだら模様やツヤをつける。

「僕のやり方はちょっと変わっていて、ソーダを浸みこませた米ぬかの団子を窯の中に放り投げる。焼き方を調整することで、深くてほのかな青色を出すよう工夫しています。料理を盛りたくなる “いい青” を出したいから」

じっと見ていると吸い込まれるような青は、料理を盛るといっそういい。真っ白なそうめんをのせても映えるし、茹で立てトウモロコシをギュギュッと並べただけでも「わーっ!」と歓声があがる美しさ。