【新連載】余宮隆展@千鳥|輪湖雅江の器とごはん
器は料理を盛ってこそ! ということで、人気作家の最新作を発表する個展に合わせて、作家本人に料理も作ってもらっちゃおう…という無茶ぶり企画が始まります。
余宮の器は、まず形がいい。使うとなおさらいい。シンプルという言葉とはちょっと違って、強い力があるしクセもある。でも料理を盛った瞬間にそのクセがスーッと引いて料理が主役になる。
色も質感も素敵。たぶん釉薬の掛け方と焼き方にヒミツがある。“ビードロ” と呼ばれるガラス質の溜まりがなんともいえず美しく、眺めていると吸い込まれそう。登り窯で焼成する際、一般的な唐津焼は12~13時間焼くところを、余宮がかけるのは27時間。釉薬をとろとろに溶かし、長く時間をかけて焼き抜くことで独特の質感をつくるのだ。
色も質感も素敵。たぶん釉薬の掛け方と焼き方にヒミツがある。“ビードロ” と呼ばれるガラス質の溜まりがなんともいえず美しく、眺めていると吸い込まれそう。登り窯で焼成する際、一般的な唐津焼は12~13時間焼くところを、余宮がかけるのは27時間。釉薬をとろとろに溶かし、長く時間をかけて焼き抜くことで独特の質感をつくるのだ。
実家が商売をしていたので、小さい時から料理は自分でつくって食べて…という日常を送っていた。腕もセンスもよく、身内には料理人になると思われていたらしい。そこに加えて、最初に弟子入りした〈隆太窯〉でも最初に教わったのは料理。「器は料理のためのもの。まずは料理を知るべし…というのが中里先生のやり方でした。包丁の研ぎ方や刺身の切り方からみっちり習い直し、器作りより先に料理の腕が上がったと思う」と余宮。
器をつくる脳ミソと料理の脳ミソは一緒だと話す。「足したり引いたり、素材を見てから何をつくろうと考えたり。あとは火加減が大事なところも一緒ですね。思い描いた器の姿によって窯を使い分け、料理によって鍋やフライパンを使い分ける。その場数を踏むことで、火の加減もコントロールできるようになる。どちらも、下ごしらえの時点からゴールは見えているんです」