CULTURE
アイコンをそのままに、ペンギン・カフェが復活。
August 20, 2017 | Culture | a wall newspaper | photo_Masataka Ishida text_Takayuki Ohtani editor_Katsumi Watanabe costume_Herr von Eden
亡き父、サイモンのグループを継いだアーサー・ジェフス。新作とペンギンのかぶりものを引っ提げ、公演の下見に来日。
Q 80年代に一世を風靡したペンギン・カフェ・オーケストラ(以下PCO)。お父さんの結成した伝説的楽団をなぜ受け継ごうと?
小さい頃から音楽は常に身近にあったけれど、成人するまで違う世界にいたんです。大学では考古学専攻だったし、南アのNGOにいた時期もある。でも、20代半ばで自分のやるべきは音楽だと悟って、いちから作曲を学びました。名前を受け継いだのは、ちょっとした偶然(笑)。2007年、父の十回忌にPCOの元メンバーと記念ライブを行い、初めて父の音楽と向き合ったんですね。その後、友人とPCOの曲を演奏する機会が増え、次第にオリジナルも書くようになった。父から受け継いだ要素は多々ありますが、作っているのはあくまでもこの時代の音楽。そこで活動にあたって最後の単語だけ外すことにしたんです。
Q 3枚目となる最新作では何を目指したのですか?
一言で言うと、ペンギン・カフェ流のダンスアルバムかな。それも機械的なビートではなく……。ミニマルな素材を微妙にずらしながら積み重ねていくという、僕らの美学を生かしつつ、よりアコースティックで人間の温もりを感じさせるダンスミュージックを提示したかったんです。結果、本作は70年代の初期テクノが持っていたユーモラスな感覚に近づいた気がする。実は今回、クラフトワーク「フランツ・シューベルト」をカバーしているんですけど、ドイツ風のかっちり構成されたテクノを人力で再構築するのは、なかなか刺激的で愉快な経験でした。
Q 一方で、現代音楽とアンビエント的な要素を併せ持つ、近年のポストクラシカル的な潮流に接近した曲もありますね。
ええ。例えば2曲目「カントラム」や6曲目「プロテクション」などでは、メインモチーフとなる旋律とその他の要素がまるで異なるリズムを奏でて、それがある種、不安定な美とでも言うべき独特の雰囲気を醸し出しています。これもまた、人力による微妙な揺らぎを用いた、僕らなりのアンビエントへのアプローチ。前2作にはない新機軸だと思います。
Q 10月には来日公演も予定されています。最後に抱負を一言。
東京公演ではやくしまるえつこさん(相対性理論)、松本公演では大貫妙子さんと、日本の素敵なミュージシャンと再会できるのがとても楽しみ。共演によって僕らの新しい曲がどんな変化を見せてくれるか、ワクワクしています!
小さい頃から音楽は常に身近にあったけれど、成人するまで違う世界にいたんです。大学では考古学専攻だったし、南アのNGOにいた時期もある。でも、20代半ばで自分のやるべきは音楽だと悟って、いちから作曲を学びました。名前を受け継いだのは、ちょっとした偶然(笑)。2007年、父の十回忌にPCOの元メンバーと記念ライブを行い、初めて父の音楽と向き合ったんですね。その後、友人とPCOの曲を演奏する機会が増え、次第にオリジナルも書くようになった。父から受け継いだ要素は多々ありますが、作っているのはあくまでもこの時代の音楽。そこで活動にあたって最後の単語だけ外すことにしたんです。
Q 3枚目となる最新作では何を目指したのですか?
一言で言うと、ペンギン・カフェ流のダンスアルバムかな。それも機械的なビートではなく……。ミニマルな素材を微妙にずらしながら積み重ねていくという、僕らの美学を生かしつつ、よりアコースティックで人間の温もりを感じさせるダンスミュージックを提示したかったんです。結果、本作は70年代の初期テクノが持っていたユーモラスな感覚に近づいた気がする。実は今回、クラフトワーク「フランツ・シューベルト」をカバーしているんですけど、ドイツ風のかっちり構成されたテクノを人力で再構築するのは、なかなか刺激的で愉快な経験でした。
Q 一方で、現代音楽とアンビエント的な要素を併せ持つ、近年のポストクラシカル的な潮流に接近した曲もありますね。
ええ。例えば2曲目「カントラム」や6曲目「プロテクション」などでは、メインモチーフとなる旋律とその他の要素がまるで異なるリズムを奏でて、それがある種、不安定な美とでも言うべき独特の雰囲気を醸し出しています。これもまた、人力による微妙な揺らぎを用いた、僕らなりのアンビエントへのアプローチ。前2作にはない新機軸だと思います。
Q 10月には来日公演も予定されています。最後に抱負を一言。
東京公演ではやくしまるえつこさん(相対性理論)、松本公演では大貫妙子さんと、日本の素敵なミュージシャンと再会できるのがとても楽しみ。共演によって僕らの新しい曲がどんな変化を見せてくれるか、ワクワクしています!
ペンギン・カフェ
1976年サイモン・ジェフスがペンギン・カフェ・オーケストラを始動。97年にサイモンが永眠。2009年に実子のアーサー(写真右、左はメンバーのダレン・ベリー)を中心にペンギン・カフェとして再始動。新作『The Imperfect Sea』(日本盤にはコーネリアスのリミックスを収録)を発表。10月来日公演を予定。