ファンキーないでたちで、サンダーキャットが祖国を憂う。

LAのジャズ〜ビートミュージックを支えるベース奏者。現地のシーンの話を聞こうと思ったら、意外や真面目な話に。

「『AKIRA』や冨田勲など日本のカルチャーに囲まれて育ったから、5月の単独来日公演は感慨深かった」とサンダー。〈Aoyama Tunnel〉前で。

Q あなたの最新作『Drunk』の制作工程を教えてください。
フライング・ロータス『You’re Dead!』(2014年)やケンドリック・ラマー『To Pimp a Butterfly』(15年)、カマシ・ワシントン『The Epic』(15年)の制作やツアーに参加した合間を縫って作った。2年くらいかかったね。

Q どれもジャズとヒップホップを結ぶ、近年の重要作品ですね。
『Drunk』の作曲やレコーディング自体はスムーズだったけど、様々な影響から感覚が変わっていくし、アイデアがどんどん更新されていった。アルバムの構成を考えているときが、一番悩んだかな。

Q マイケル・マクドナルド、ケニー・ロギンスが参加した「Show You The Way」はメロウなAORで、ニュースを聞いたときは驚きました。
ラジオ番組でケニーとマイケルを尊敬していると話したら、ケニーと共演経験のある鍵盤奏者のデニス・ハムがつないでくれて。まずケニーの息子とチャットするようになったんだ。その後ケニーに作品へ参加してくれるようお願いしたら、なんとスタジオにマイケルを連れてきてくれた。彼らの音楽は、今のアメリカ人が本当に必要な“ハート”を歌っているよ。

Q ジャケットは映画『地獄の黙示録』(1979年)みたいで。
チャーリー・シーンが出ているファニームービーか!?

Q ファニーじゃないし、多分それは『プラトーン』(86年)です。
『地獄の〜』はドアーズの「The End」で始まる映画か。ジャケットはフォトセッションをしているとき、ベトナムじゃなくて、フライング・ロータスの家のプールで撮影した写真。オレは戦争映画を見ていると、人類って本当に間抜けだなと思って、笑っちゃうんだ。

Q アメリカも大変ですね。
トランプが大統領になってから本当に最悪だよ。国家のトップが暴力や戦争、差別を推奨しているようなものだから。近所のLAギャングたちさえバカバカしくなって、抗争を止めたくらいだ(笑)。

Q アルバム名と同じく、お酒でも飲まなきゃ、やってられません。
意味が違う。今のアメリカには「お前、酔っぱらってんじゃないか?」というくらい、バカなことを言いだすヤツが多い。そんなあきれた状況を反映しているんだ。

Q ところで5月の来日公演のとき、あなたが聴かせてくれた美声の虜になった人が多いんですが。
それは女性かな? (真剣に)妊娠していないといいけどね。

サンダーキャット

1984年LA生まれ。幼少期からベース演奏を開始。18歳でスイサイダル・テンデンシーズに加入。その後、LAのビートミュージックの雄、フライング・ロータスの〈brainfeeder〉から3枚のアルバムを発表。最新作『Drunk』を発表。7月30日に苗場で開催される『FUJI ROCK FESTIVAL 17』に出演決定。