ほしよりこが映像化した、エド・シーランの原風景。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ほしよりこが映像化した、エド・シーランの原風景。

エド・シーランの3rdアルバム『÷(ディバイド)』収録曲「スーパーマーケット・フラワーズ」のアニメーションビデオが話題になっている。手がけたのは本誌連載『カーサの猫村さん』でおなじみの漫画家ほしよりこ。本格的なアニメーションへの初挑戦を、独占インタビューで振り返った。

──アニメーターの方のコマに合わせて描くというのは、ある種矯正された、辛い作業だったのではありませんか?

それが、すごく楽しかったんです。アニメーターの方とのコミュニケーションのようでもあったし、「こんな動きをするのか」という発見がたくさんありました。修行のような作業で、自分の思い込みを崩される、頭をほぐされるような感じもあって、とても心地よかったんです。自分の頭のなかだけでやっていることなんて、本当につまらない。新しいことを学んだ喜びがそこにはあった気がします。

──猫がエドの足をくぐったり、エドが猫をくるんと抱きかかえるシーンは、たまらない愛おしさに溢れていますね!

あそこはエドと猫が親密に関わる、見せ場っぽいシーンですよね。不思議なもので、ずーっとエドの顔を描き続けると、だんだんその人のことが分かってきます。エドの動画を観続けて、表情や目線を観察しているせいだと思うのですが、彼はすごく自己肯定感の強い人だと感じました。本当に家族に愛されているし、家族が家族を大事にしている。エドが路上に出て一人で歌えたのも、なにがあろうと家族が応援してくれるという強い後ろ盾があったから。だから、飾る必要もなかった。吃音のコンプレックスがあると言われていますが、それを受け入れる強さがありますよね。
──「スーパーマーケット・フラワーズ」も亡くなったおばあちゃんを歌った歌。アニメーションのなかでは、エドの髪が風に吹かれたり、草木がそよいだり、鳥や蝶が舞うなど、「風」の存在を強く感じます。「人は死んで風になる」と言われますが、おばあさんの魂や、ケルト民話で語られる精霊など、「何かに守られている」という安らかさが伝わる映像でした。

鳥や蝶々など、浮遊するものを魂のように感じさせるというのは意識していたと思います。おばあちゃんの魂が、いまを生きるものや小さな命を「ハレルヤ」と讃美するというような。突飛なことはなく、特別なことは何も起きないけれど、シンプルで美しい曲をゆっくり味わうふうになったと思います。

──またアニメーションを作りたいですか?

機会があればやってみたいですね。もう手法を知ってしまったので、次にやるときは、ここまで生々しいものは作れないと思います。先日、東京ドームのライブを観る前に、初めてエドにお会いしたのですが、日本語で『ありがとうございます』と言ってくれました。