アニッシュ・カプーアの作品が別府に出没中! | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

アニッシュ・カプーアの作品が別府に出没中!

現代美術家、アニッシュ・カプーアの作品が大分県別府市にやってきた! 風景の中に突如、丸く切り取られた空が浮かぶ作品《Sky Mirror》など、興奮を巻き起こすアートが温泉の町を沸騰させている。

企画展『コンセプト・オブ・ハピネス』内の展示風景。 ©Anish Kapoor photo by Nobutada Omote Courtesy of Mixed Bathing World Executive Committee
さらに公園の道を先に進むと、黒い焼杉で覆われた企画展『コンセプト・オブ・ハピネス』のパヴィリオンが見えてくる。ここではカプーアの立体作品と絵画作品を展示している。シリコーンやガーゼを使った抽象的な作品群は、まるで動物の内臓をぶちまけたようでもあり、マグマが噴出したようでもあり、生々しく暴力的な強さで迫ってくる。昨年、表参道GYREで展示された作品や未公開2点を加え、パヴィリオンも今回のために新たに建てた。

松林を抜けて、広々とした芝生に出ると、急に目の前に現れてくるのが最後の作品〈Sky Mirror〉だ。
〈別府公園〉のほぼ中央、芝生の広場に据えられた《Sky Mirror》。作品には24時間警備がつくが、公園は夜でも立ち入りでき、昼間とは全く違う光景が見られる。 ©Anish Kapoor photo by Nobutada Omote Courtesy of Mixed Bathing World Executive Committee
直径5メートルのステンレス製の凹面鏡が地面近くに設置され、空と雲を映し出す。仕掛けは簡単なのに、作品は思いもよらない効果を生み、丸く切り取られた「空」という物体が目の前に浮遊しているような錯覚に陥る。天気、時間、雲の形、飛ぶ鳥や飛行機。様々な環境の変化とともに無限の表情を見せる作品は、何度も訪れてその様子を確かめたくなる。
《Sky Mirror》鏡の中で雲が流れ、空の色がうつろう。一瞬として同じ光景はない。真正面に立つと、凹面鏡なのに膨らんで見えてくるから不思議だ。
『in BEPPU』の総合プロデューサー・山出淳也さんは、20歳の頃からその作品に惹かれ続けたアニッシュ・カプーアに出会い、サイトスペシフィックな展覧会を成功させたので、思い入れもひとしお。

大分県で数々のアートプロジェクトを仕掛けてきた山出さんは、アートを招致する際、地域性を最も大事にしているという。

「《Sky Mirror》は大地のエネルギーと空とをつなぐ装置といえます。『コンセプト・オブ・ハピネス』では、人体の内側のエネルギーが今にも溢れ出そうな瞬間を想像させます。そして《Void Pavillion V》はブラックホール、宇宙空間を彷彿させ、世界の果てをイメージさせるもの。これらは別府の地域性や地形の特殊性に合わせて選ばれ、設置されています。たとえば《Sky Mirror》のある場所では、背後に山が、遠く見下ろすと海が、そして温泉街の湯けむりが立ち上るのも見えます。温泉は地中のマグマによって温められた水が火山活動で噴出したもの。いわば地中のエネルギーの噴出ですよね。自然や人体、地球上のさまざまなエネルギーの放出をこの別府公園で、カプーアの作品とともに感じとっていただけたら嬉しいです」

●同時期に日田市で行われている大巻伸嗣個展『SUIKYO』にも、足を伸ばしてみよう。

大巻伸嗣〈Liminal Air Space-Time SUIKYO〉1枚の半透明の布が送風装置により煽られ、生き物のように揺れ続ける。 photo_Shinji Omaki Studio
カプーア展と時期を同じくして大分県では『国民文化祭 全国障害者芸術・文化祭「おおいた大茶会」』が開催中(〜11月25日)。その一部である『水郷ひた芸術文化祭2018』の枠組みとして日田市で行われている大巻伸嗣個展『SUIKYO』をご紹介しよう。

大巻の代表作〈Liminal Air〉シリーズの新作が、〈日田市複合文化施設AOSE〉で展示されている。真っ暗なホールの中で、ごく薄い布が風にたなびく様子はいつまで眺めていても飽きない。送風の強さや具合で、大きく膨らんだかと思えば波のようにこちらに打ち寄せたり。水郷=水の町として有名な日田の風景から着想を得たこの作品は、じっと見ているうちに遠近感を失うような、不思議な感覚にとらわれる。大巻は日田市内でもう一箇所、元料亭の和風建築の中で《座 盆地》という作品も展示。古代からの町の歴史を背景にしたインスタレーションが非常に刺激的だ。

アニッシュ・カプーア in BEPPU

〈別府公園〉大分県別府市野口原3018-1。〜11月25日。10時〜18時。1,200円(《Sky Mirror》のみ無料で鑑賞可能)。

大巻伸嗣個展『SUIKYO』

〈日田市複合文化施設AOSE〉大分県日田市上城内町395−1ほか。〜11月25日。9時〜17時。入場無料。