縄文界を代表するトップスター《遮光器土偶》|ニッポンのお宝、お蔵出し
季節に応じて床の間の軸を替えるように絵や彫刻を愛でる。今回は縄文界を代表するトップスター、《遮光器土偶》です。
戦後になって縄文の造形が注目されるようになったきっかけの一つが、岡本太郎が東京国立博物館で“発見”した土器や土偶の美を雑誌で発表したことだった。1952年の『みずゑ』に掲載された太郎のテキスト「四次元との対話 縄文土器論」によって、縄文が初めて美術史の一部として認識されることになったのだ。展覧会には太郎旧蔵の土器や、濱田庄司ら民藝の作家たちがコレクションしていた土偶なども並ぶ。コレクションからそれぞれの作家の好みがわかるのも面白い。
縄文人たちはこのほかにも耳飾りや石棒など、まだまだバラエティに富んだ形で驚かせてくれる。日本全国の美術館・博物館からこれだけの資料が集まる機会はめったにない。上野公園に出現したタイムカプセルからは次から次へと面白いものが飛び出してくる。
特別展『縄文―1万年の美の鼓動』
〈東京国立博物館 平成館〉東京都台東区上野公園13-9。TEL03 5777 8600。~9月2日。9時30分~17時(ただし、金曜・土曜は21時まで開館。日曜および7月16日は18時まで開館)。月曜、7月17日休(ただし7月16日、8月13日は開館)。1600円。※国宝6件が揃うのは7月31日から。
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青野尚子
あおの なおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に「新・美術空間散歩」(日東書院本社)。西山芳一写真集「Under Construction」(マガジンハウス)などの編集を担当。