新連載:吉田実香のNY通信|ジョージア・オキーフが見たハワイ | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

新連載:吉田実香のNY通信|ジョージア・オキーフが見たハワイ

ニューヨーク在住のジャーナリストが旬のトピックをお届けする連載がスタート! 初回は、アメリカ人ならみんな大好き、ジョージア・オキーフの展覧会。オキーフと聞いて連想するのは、ニューメキシコの乾いた大地や花、動物の骨ですが、なんと南の楽園ハワイで描いた作品が、旅の軌跡とともに植物園で公開中。ニューヨーカーが沸いています。

マウイ島のハナにある、溶岩でできたブリッジ。オキーフが海の絵を描いていたとは。Gift of The Georgia  O'Keeffe  Foundation
溶岩ブリッジのスケッチ。
マウイの滝。
マウイ島のハナにある、溶岩でできたブリッジ。オキーフが海の絵を描いていたとは。Gift of The Georgia  O'Keeffe  Foundation
溶岩ブリッジのスケッチ。
マウイの滝。
オキーフをハワイに招いたのは、大手パイナップル会社。広告キャンペーン用にパイナップルの絵を描いてほしいとの注文だった。当時51才、脂の乗りきった女流画家は、初のハワイに夢中になる。見るものすべて新鮮なこの楽園で、草花や滝などハワイの風物をテーマに作品を制作した。15点を超える絵画が一堂に会するのは1940年の初公開以来、今回が初。ちなみにオキーフの業績を紹介するフィルムのナレーションは、女優シガニー・ウィーバー。凜とした孤高の女性芸術家の「声」として、なるほどハマリ役である。
パイナップル会社の広告が掲載された当時の雑誌。オキーフはハワイに夢中になったが、パイナップルを描く事にはあまり興味が湧かなかったらしい。9週間の滞在で会社に提出したのはパイナップルのライバルである、パパイヤの絵! NYに戻ったオキーフに、会社はパイナップルの鉢植えを送って描き直しを要請。オキーフは鉢に見向きもせず、自分の記憶をもとにこの絵(右)を描いた。
ハワイの風物もディスプレイ。このほか、ハワイ旅行の出発から帰国まで緻密に紹介するセクションなども。
パイナップル会社の広告が掲載された当時の雑誌。オキーフはハワイに夢中になったが、パイナップルを描く事にはあまり興味が湧かなかったらしい。9週間の滞在で会社に提出したのはパイナップルのライバルである、パパイヤの絵! NYに戻ったオキーフに、会社はパイナップルの鉢植えを送って描き直しを要請。オキーフは鉢に見向きもせず、自分の記憶をもとにこの絵(右)を描いた。
ハワイの風物もディスプレイ。このほか、ハワイ旅行の出発から帰国まで緻密に紹介するセクションなども。
あまり知られていない「オキーフのハワイ」を、トータルで追体験できる機会はきわめてレア。オキーフの旅をたどって私たちが得るインスピレーションと、彼女が昇華させた作品とを対比することで、オキーフの芸術家としての偉大さがぐっと体感できる貴重な展覧会だ。
フラダンスやレイ作りのイベントや、ハワイムードの園内を散歩する「アロハ・ナイト」あり。
Georgia O'Keeffe
ジョージア・オキーフ

1887年、ウィスコンシン州で酪農業を営む両親の元に生まれる。花のモチーフやNYの摩天楼、ニューメキシコの大自然を描いた絵画作品で、今なお絶大な人気を誇るアメリカン・モダニズムの先駆者。1949年ニューメキシコに移住。1986年、98才にて逝去。
(c) Harold Stein
Georgia O’Keeffe on Leho‘ula Beach, near ‘Aleamai, Hāna, Maui, 1939

『Georgia O'Keeffe: Visions of Hawai'i
ジョージア・オキーフ:ハワイのヴィジョン展』

〈New York Botanical Garden〉

2900 Southern Boulevard, Bronx, NY
TEL (1)718 817 8700。10時~18時。火曜休。入館料23ドル(土日28ドル)、10月28日まで。マンハッタンのダウンタウンからは地下鉄で1時間半ほど。

吉田実香

よしだみか  ライター/翻訳家。ライター/インタビュアーのパートナー、デイヴィッド・G・インバーとのユニットでNYを拠点に取材執筆。『Tokyolife』(Rizzoli)共著、『SUPPOSE DESIGN OFFICE』(FRAME)英文執筆、『たいせつなきみ』(マイラ・カルマン 創元社)翻訳。